2025年、AI(人工知能)に対する強気な見方が、米国の著名ヘッジファンド「コートゥ・マネジメント(Coatue Management)」の創業者、フィリップ・ラフォン氏によって改めて強調されました。ラフォン氏は、ニューヨークで開催されたテック投資会議でAIの成長性について熱弁を振るい、その要点が公開され話題を呼んでいます。
ラフォン氏はかつてタイガー・マネジメントでアナリストを務めた後、1999年にコートゥを創業。現在では約550億ドルを運用し、テクノロジーセクターに特化した長期投資で知られる存在です。
以下では、同氏の講演から注目すべき6つのポイントを抜粋してご紹介します。
AIは「まだ始まったばかり」の巨大トレンド
ラフォン氏は、現在のAIブームを「スーパーサイクル」の初期段階と位置付けています。パソコン、モバイル、クラウドに続く10年に一度のメガトレンドであり、これからの数年で莫大な資産形成が起こると指摘しました。同氏は「テクノロジー投資家にとって重要なのは、このような大きな波を見極めること」と述べています。
成長企業の入れ替わりは加速する
過去のデータによると、時価総額でトップ25に入るテック企業は5年ごとに約1/3が入れ替わっており、マーケットは常に「優勝劣敗」を繰り返しています。今後もAIを軸とした技術革新がこの流れを加速させる可能性があります。
テクノロジー株は高リターンだが、ボラティリティに注意
ナスダック100は長期的に見て高いパフォーマンスを維持していますが、大きな下落も経験しています。エヌビディア(NVDA)は上場以降、50%以上の下落を7回経験しており、保有には忍耐も求められることを同氏は強調しました。
AIインフラ投資は急拡大中
2025年における米国の主要テクノロジー企業によるAI関連の設備投資(CapEx)は、前年比で急拡大しています。2021年の1520億ドルから、2025年には3650億ドルに達する見通しで、これはAIの本格導入が進んでいることを示唆します。
新たな「AIクラウド」勢力の台頭
ラフォン氏は、AIの成長がクラウド市場の新勢力を生み出すと見ています。エヌビディアのGPUの供給先として、コアウィーブ(CRWV)やオラクル(ORCL)が注目されており、従来のハイパースケーラーとは異なるプレイヤーが台頭しつつあります。
米国の強みは「金融」と「テクノロジー」
ラフォン氏は、AIの時代においても米国が圧倒的な優位性を維持すると予測しています。理由は、資本市場(ウォール街)と技術革新(シリコンバレー)という2つの土台にあります。世界のAI研究者の約6割が米国に集中しており、世界をリードする大学や研究機関も集積しています。
まとめ:AI投資は長期的視点がカギ
AIブームに便乗した一時的な値動きに惑わされず、ラフォン氏のように「構造的な成長トレンド」として捉えることが、これからのテクノロジー投資では重要です。特に、インフラへの投資や人材の集積など、ファンダメンタルズに基づいた視点が求められます。
AIはまだ始まったばかり。今後10年の「主役銘柄」を見極める目が、投資家には問われています。