2025年7月、米クラウド大手のオラクル(ORCL)に注目が集まっています。人工知能の開発をリードするオープンAIとのデータセンター拡張プロジェクト「スターゲート」の進展が報じられ、オラクル株は連日で大きく上昇しました。
株価は2日連続の上昇、アナリストも強気に
7月2日、ブルームバーグが「オラクルとオープンAIが4.5ギガワット規模の米国データセンター容量を拡張する計画に合意した」と報道。これを受けてオラクル株は5%上昇し、翌3日も3.2%上昇して237.32ドルで取引を終えました。
この報道を受け、TDカウエンのアナリストであるデリック・ウッド氏は「今週、サフラ・キャッツCEOが言及していた大型契約の相手はオープンAIであり、それもスターゲートプロジェクトである可能性が高い」と指摘しています。
年間300億ドル規模の契約、売上に大きく寄与か
キャッツCEOは今週、米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で「複数の大規模なクラウドサービス契約を締結した」と開示。そのうちの1件は、2028年から年間300億ドル以上の売上をもたらすと見込まれています。
TDカウエンによると、オラクルは2024年中頃にオープンAIと200メガワットの契約を結び、2025年初頭にはそれを大きく上回る契約も結んだとされています。これが第3四半期の新規受注の急増に貢献したとみられています。
また、同社は当初、この300億ドルの一部が契約更新に関連すると考えていましたが、今回の報道により「すべて新規契約の可能性が高い」と判断を変更しました。この契約により、オラクルの2028年度の売上成長率は50%以上に達する可能性があると予想しています。
契約の将来価値は1500億ドル超の可能性も
さらにTDカウエンは、今回の契約は「残存履行義務(RPO)」として1500億ドル規模になる可能性があるとしています。RPOは将来的に認識される予定の契約売上の総額を示す指標であり、企業の成長性を測る重要なデータです。
ウッド氏は、2029年度のオラクルの総売上は経営陣の予測である1040億ドルを大きく上回る可能性があるとし、目標株価を250ドルから275ドルに引き上げました。
長期的な経営戦略とGPUクラスタが強み
他のアナリストもオラクル株に好意的です。Citizens JMPのパトリック・ウォルレイヴェンズ氏は、同社株を「マーケットアウトパフォーム」と評価し、目標株価を240ドルに据え置いています。
ウォルレイヴェンズ氏は、「オラクルは最新技術を用いた優れたインフラを構築し、効率的なスケーラビリティを実現している」と評価。業界関係者の話として「同社のクラウド基盤には世界最高レベルのGPUクラスタがある」とも紹介しています。
オラクルの共同創業者で会長のラリー・エリソン氏のリーダーシップも、長期的な成長の要とされており、同社のインフラ戦略は今後もAI時代の中核を担うと見られています。
市場からの評価も高まる
ファクトセットによると、オラクルをカバーする41人のアナリストのうち26人がオラクル株を「買い」またはそれに相当する評価としており、残り15人が「ホールド」と評価しています。
AIインフラ需要が高まるなかで、オラクルはエヌビディア製の高性能GPUを取り入れたデータセンター構築を加速させており、今後の業績拡大に期待が集まっています。