2025年、サイバーセキュリティ企業のクラウドストライク(CRWD)は、人工知能(AI)ブームを追い風に、株価が過去最高水準に達しています。しかし、その急上昇ぶりに対してウォール街では評価が分かれている状況です。
ウェドブッシュは強気、目標株価を575ドルに引き上げ
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、クラウドストライクに対して「アウトパフォーム」の評価を維持し、目標株価を525ドルから575ドルへ引き上げました。アイブス氏は「クラウドストライクは我々が最も注目するテック企業のひとつであり、AIの追い風に乗って、契約の勢いがさらに広がっている」とコメントしています。
クラウドストライクの株価は、2025年の年初から45%上昇しており、7月2日の終値は496.1ドルでした。2024年7月に発生した不具合で約850万台のWindows PCが使用不能になったことによる下落から完全に回復しています。
一部アナリストはバリュエーションを懸念
一方で、米国みずほ証券やバンク・オブ・アメリカのアナリストは、クラウドストライクの株価が予想売上高の約24倍という高い評価に達しているとして、「中立」に格下げしました。直近の決算でも売上成長とガイダンスが市場予想をわずかに下回っていたことから、過熱感を警戒する声が出ています。
AI活用でセキュリティ領域を拡大、仮想アシスタント「Charlotte AI」も注目
クラウドストライクは、従来のエンドポイントセキュリティの分野で確固たる地位を築いた後、クラウドセキュリティ、アイデンティティ保護、分析ツールなど、幅広い領域へ事業を拡大しています。特に、Falconプラットフォームのユーザーを支援するAI搭載の仮想アシスタント「Charlotte AI」など、AIの統合が加速しています。
アイブス氏は「クラウドストライクはAI革命の“第二、第三の恩恵を受ける銘柄”として、今後も成長余地が十分にあるが、市場が過小評価している」と指摘しています。
ウェドブッシュのAI ETFには未採用も、注目は継続
興味深いことに、ウェドブッシュが最近立ち上げた「ダン・アイブス・ウェドブッシュAIレボリューションETF(IVES)」には、クラウドストライクは組み入れられていません。このETFは、AIの恩恵を受けると判断された30社で構成されており、パロアルトネットワークス(PANW)、サイバーアーク・ソフトウェア(CYBR)、Zスケーラー(ZS)など、他のサイバーセキュリティ企業が採用されています。
クラウドストライクの成長戦略とAI統合の進展により、株価の上昇は続く可能性があります。今後の動向も引き続き注目されます。
*過去記事はこちら クラウドストライク CRWD