米大手銀行株が急騰!新規制と利下げ観測で強気相場へ

2025年夏、アメリカの大手銀行は株式市場で勢いを増しています。背景には、銀行経営に優しい新たな規制当局陣の登場、ストレステスト結果を受けた増配、そして今後の利下げ観測の高まりがあります。

銀行株指数は連続上昇、モルガン・スタンレーなどが最高値更新

銀行株全体を示すKBWナスダック銀行指数は、過去最長となる10営業日連続の上昇を記録しました。これは、投資家が今後の銀行業界に強気であることを示しています。

モルガン・スタンレー(MS)JPモルガン・チェース(JPM)キャピタル・ワン(COF)バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)などの株価は過去最高値を更新しました。

3ヶ月前には、トランプ大統領による4月初旬の関税発表で米国株は弱気相場寸前まで下落していましたが、今や銀行株の状況は一変しています。

不透明感を乗り越える強気の業績予想

依然として政権の貿易交渉の行方や世界経済の先行きには不確実性が残っていますが、ウォール街ではそれらを乗り越えてポジティブな見通しが広がっています。

エバコアISIのグレン・ショア氏は、銀行と証券業界、さらにはM&Aの可能性についてAIで制作したユーモラスな楽曲まで披露し、強気姿勢を示しました。

「バイバックではなくM&Aの選択肢を取る銀行が、バケーション中にも動くかもしれない」との歌詞は、市場での統合期待を反映しています。

「銀行規制の新時代」が投資家心理を後押し

モルガン・スタンレーのアナリスト、ベッツィ・グラセック氏は、「銀行規制の新時代」に突入したと述べ、ストレステスト後の見通しに強気な姿勢を示しました。

6月下旬、グラセック氏はバンク・オブ・アメリカ(BAC)シティグループ(C)、JPモルガンゴールドマン・サックス(GS)の2025年第2四半期から2027年までの業績予想と目標株価を引き上げました。投資銀行業務や資産・富裕層管理、資産サービス事業における手数料増加が主な理由とされています。

銀行決算に向けた市場の注目点

RBCキャピタル・マーケッツのジェラルド・キャシディ氏によると、銀行全体の第2四半期決算は広範囲に増加が見込まれています。1株あたりのコア利益中央値は前四半期比で5.5%、前年同期比で5.8%の増加が予想されています。

ただし、リスクが消えたわけではありません。グラセック氏は「景気後退リスクは4月時点より大幅に低下している」としながらも、「地政学的な対立や関税の影響が拡大すれば市場の変動が再燃する可能性がある」と警告しています。

さらに、ショア氏は「現時点でのバリュエーションはすでに高く、突発的な悪材料が出た場合の余地は小さい」と述べています。

トランプ政権がもたらす銀行業界への長期的追い風

7月中旬に予定されている銀行の四半期決算発表では、春先の市場混乱がバランスシートに与えた影響が明らかになると見られています。現在のウォール街は、トランプ政権が大手銀行にとって長期的に有利な環境を築いてくれるという信頼を背景に、銀行株への強気スタンスを強めています。

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