テスラ株が急落、トランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が再燃

2025年7月1日の米国株市場でテスラ(TSLA)の株価が大幅に下落しました。背景には、トランプ大統領とテスラCEOであるイーロン・マスク氏との間の対立の激化があります。トランプ大統領は、マスク氏が率いる企業に対する政府補助金の見直しを示唆し、株式市場に大きな影響を与えました。

テスラ株は2日連続で下落、一時6.9%安

1日の取引が始まってまもなくテスラの株価は一時6.9%安の295.69ドルまで下落しました。その後下げ幅は縮まっていますが、前日も1.8%下落しており、2日連続の下げとなっています。

きっかけは、トランプ大統領が「政府効率局(DOGE)」に対し、マスク氏が経営する企業に対する補助金の調査を要請したことでした。大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「イーロンほど補助金を受け取ってきた人間はいない」と発言し、マスク氏を名指しで非難しました。

EV政策と補助金に対するトランプ政権の姿勢

トランプ大統領は現在、電気自動車(EV)政策の大幅な見直しを進めています。その一環として、バイデン政権時代に導入された最大7,500ドルのEV購入税控除も廃止される見通しです。

また、カリフォルニア州に与えられていた排出規制の特例措置も撤廃され、これはテスラが販売していた排出枠クレジット(ゼロエミッション・クレジット)に直接的な影響を与えるとみられています。カリフォルニア州はこの措置を違憲として裁判で争う構えを見せています。

スペースXへの言及も波紋を呼ぶ

トランプ大統領は、テスラと並んでスペースXについても言及しました。スペースXは米政府と多数の契約を結んでいるものの、直接的な補助金はほとんど受け取っていないとされています。仮にスペースXを排除した場合、代替手段として使用されるのは、ボーイング(BA)とロッキード・マーチン(LMT)の合弁会社であるULAなどであり、コストは大幅に上昇する可能性があります。

対立の背景:マスク氏が新党設立を示唆

この対立は、マスク氏がトランプ政権の大型歳出法案を「狂気で破壊的」と批判し、新党の立ち上げを示唆したことが発端でした。「この法案に賛成する議員は、来年の予備選で落選させる」とまで発言しており、両者の関係は一気に冷え込んでいます。

株式市場の反応とアナリストの見解

6月上旬には、マスク氏とトランプ大統領の関係が悪化したことで、テスラ株はわずか2日で17%以上下落しました。株価が回復したのは、6月22日にテスラがテキサス州オースティンで自動運転タクシー「ロボタクシー」のサービスを開始した後のことでした。

米証券会社ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏はこの状況を「テスラ株にとって尾を引くドラマ」と表現しながらも、最終的には「米中のAI競争が激化する中で、マスク氏とトランプ大統領は互いを必要としている」と分析しています。同氏はテスラ株に対して「アウトパフォーム」の評価を維持し、目標株価を500ドルに設定しています。

今後の注目点

テスラ株の先行きは、政治情勢や政策変更の影響を大きく受ける可能性があります。トランプ大統領が進めるEV関連の規制緩和や補助金削減が、企業収益に与える影響は避けられないと予想されます。今後の両者の発言や政策動向に引き続き注目が集まります。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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