ビットコインを脅かす存在?急拡大するステーブルコイン市場に注目

  • 2025年6月30日
  • 2025年6月30日
  • BS余話

2025年、仮想通貨市場に新たな主役が登場しました。それが「ステーブルコイン(Stablecoin)」です。エヌビディアやテスラといった注目銘柄と並び、米国市場では今、デジタル通貨の進化が金融の根幹を揺るがす存在になりつつあります。

米投資情報メディア「マーケットウォッチ」は6月下旬、ステーブルコインの急成長と規制の課題に焦点を当てた特集記事を公開しました。本記事では、その内容をわかりやすく紹介しつつ、投資家が注目すべきポイントを整理します。

ステーブルコインとは?

ステーブルコインは、米ドルなどの法定通貨に価値を連動させることで、価格の安定性を実現した暗号資産です。ボラティリティの高いビットコインとは異なり、安定した取引や送金手段としての活用が進んでいます。

代表的なステーブルコインには、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)があります。これらは、米国債などの安全な資産に1対1で裏付けられており、その信頼性から広く利用されています。

現在、ステーブルコインの市場規模は約2,500億ドルに達し、1日の取引総額は150億ドルを超えるとも言われています。これは、ビットコインの取引額の2~7倍に相当します。

実需拡大と投資対象としての可能性

マーケットウォッチの記事では、ステーブルコインが単なるトレーディングツールではなく、現実世界の決済手段として拡大している点に注目しています。

例えば、インフレが深刻なアルゼンチンやトルコでは、現地通貨の価値下落に対するヘッジ手段として、米ドル建てのステーブルコインが家庭で活用されています。また、国際送金においては、平均6.6%の手数料を3%以下に抑えることができるなど、実用面でのメリットも大きいです。

さらに、モバイルウォレットやデジタルインフラが整いつつあるサブサハラ・アフリカ地域では、ステーブルコインが銀行口座を持たない人々への金融アクセスを拡大する役割を果たしています。

米欧で分かれる規制のアプローチ

このように急速に拡大するステーブルコイン市場ですが、規制への対応が世界的な課題となっています。

米国では、2025年に「GENIUS法」が上院を通過。これは、資産の裏付けや定期的な監査などを義務づけつつも、技術革新を促進する柔軟なルールを導入する法律です。ただし、発行規模が100億ドル未満の小規模なステーブルコイン発行者には州レベルの監督を認めており、規制のばらつきやリスクの分散にもつながる可能性があります。

一方、欧州連合(EU)は2024年に「MiCA規則」を施行し、ステーブルコインを銀行並みに厳しく監督。とくにドル建てステーブルコインの域内拡大を抑えるため、厳格な資本要件と運用基準を課しています。

このように、民間のイノベーションを重視する米国と、金融主権を守る欧州とで、規制方針に大きな違いが見られます。

今後の展望と投資家への示唆

マーケットウォッチの記事は、こうした規制の遅れに警鐘を鳴らしつつも、ステーブルコインがすでに金融システムの中核へと入りつつある現状を伝えています。

今後、世界は「ドル建てステーブルコイン主導の米国」「デジタルユーロを推進する欧州」「それぞれ異なるアプローチを取る新興国」という三極構造に向かう可能性があります。

テクノロジーと金融が融合するこの分野は、株式市場や為替市場との連動性も高まりつつあり、米国株投資家にとっても重要なテーマです。

*過去記事「ステーブルコイン元年:フィサーブ、サークル、コインベースの躍進

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