2025年6月27日、米金融大手J.P.モルガンは、年額1,230億ドル規模のIT予算を管理する168人の最高情報責任者(CIO)を対象に実施した最新調査の結果を公表しました。この調査では、企業のテクノロジー投資の方向性や注目されているベンダーが明らかになっています。特に、人工知能(AI)関連の支出が急拡大しており、エヌビディア(NVDA)とマイクロソフト(MSFT)への注目が高まっています。
CIOが支出を拡大するソフトウェア企業は?
CIOたちが今後支出を増やすと答えたソフトウェア企業は、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム傘下のアマゾンAWS(AMZN)、SAP(SAP)、サービスナウ(NOW)などが挙げられています。これらの企業は、AIやクラウド関連のソリューションを強化しており、企業のデジタル変革を支える存在として高く評価されています。
一方、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)やオラクル(ORCL)は、支出を減らすと回答したCIOが多く、シェアを他社に譲っている実態が浮き彫りとなりました。
AIエージェントとSaaSに高まる需要
調査では、多くの企業がAIエージェントの導入に前向きであることも明らかになりました。AIエージェントとは、簡単な指示で複数の工程を自動的に実行できるプログラムであり、次世代の成長分野として注目されています。
特に、企業は独自に開発するよりも、アプリケーションプロバイダーから既製のAIエージェントを導入する傾向が強くなっています。また、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)への関心も高く、AIと組み合わせた利便性の高いサービスが支持を集めています。
エヌビディアに広がるAIインフラ投資の恩恵
現在、企業のIT予算のうちAIハードウェアへの支出は平均6%にとどまっていますが、今後3年以内に16%まで増加すると予測されています。この分野で最大の恩恵を受けているのがエヌビディアです。
同社のGPUは、生成AIやAIエージェントの開発・運用に不可欠な計算能力を提供しており、AIインフラの中心的存在として評価されています。企業のAI活用が進む中で、エヌビディアの重要性はますます高まっています。
AI導入でIT人員の再構成が進行か
J.P.モルガンの調査では、AIの活用により今後3~5年で企業のIT部門の人員が減少する可能性があるとの見方も示されました。AIによる業務自動化や効率化が進むことで、従来のIT業務のあり方が変化し、人的資源の配置転換が求められる状況になりつつあります。
AI技術の進展とともに、企業のIT投資は大きく変わろうとしています。エヌビディアとマイクロソフトはその変革の中心にあり、今後も注目すべき存在となっています。