クアンタムスケープ株が44%急騰!固体電池量産技術「Cobra」の衝撃

  • 2025年6月26日
  • 2025年6月26日
  • BS余話

2025年6月25日、固体電池を手がける米国企業クアンタムスケープ(QS)の株価が急騰しました。終値で前日比+30.48%の上昇となり、一時は44%高の6.23ドルを記録しました。背景には、次世代電気自動車(EV)向け電池の量産体制における重要な進展が発表されたことがあります。

固体電池の鍵を握る「セパレーター技術」

固体電池とは、従来の液体電解質を用いず、固体材料を使って電気を流すバッテリーです。これにより、従来のリチウムイオン電池と比べて以下のような利点が期待されています。

  • 1回の充電あたりの航続距離が伸びる
  • 火災などの安全性リスクが低減
  • 製造コストの削減が可能

ただし、その製造には高度な技術が必要で、特に「セパレーター」と呼ばれる部品の開発が課題となってきました。セパレーターは正極と負極を物理的に分けながらも、リチウムイオンの移動は可能にする重要な部品です。

今回、クアンタムスケープが発表した「Cobra(コブラ)」プロセスは、セラミック製セパレーターの製造を大幅に効率化する技術です。このプロセスは量産工程において、スループットの改善と設備スペースの縮小を実現できるとされています。

2026年に商用化、フォルクスワーゲンが初期採用か

クアンタムスケープは2026年の商用化を目指しており、実際の電気自動車に搭載されることを視野に入れています。その有力なパートナーがフォルクスワーゲンです。同社はクアンタムスケープの筆頭株主であり、発行済株式の約14%を保有しています。

クアンタムスケープのCEO、シヴァ・シヴァラム氏はプレスリリースで以下のように述べています。

「私たちのチームはCobraの進展において顕著な成果を挙げました。この技術は固体電池のスケールアップに向けた大きな前進です。」

市場の評価と今後の課題

今回の株価急騰は、固体電池への期待感が高まっていることを示しています。ただし、依然として商用化には時間と技術的な検証が必要です。

ファクトセットによると、クアンタムスケープをカバーするアナリストのうち「買い」評価をしているのは全体の14%にとどまっており、S&P500構成銘柄の平均(55%)を大きく下回っています。目標株価の平均は4.80ドルと、現在の株価よりも低めに設定されています。

まとめ:商用化が進めばEV市場を一変させる可能性も

クアンタムスケープが目指す固体電池は、電気自動車の性能と価格の両方に大きな影響を与える可能性を持っています。Cobraプロセスが量産に本格的に導入され、商用化が実現すれば、同社の業績も大きく飛躍する可能性があります。今後の技術開発の進捗に注目が集まります。

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