ARKが大量売却!サークル株に利益確定の動きが加速

2025年6月に新規株式公開(IPO)を果たしたステーブルコイン大手、サークル・インターネット・グループ(CRCL)の株価がこのところ急騰しています。上場以来の上昇率は実に690%に達し、時価総額は約680億ドルに膨らみました。しかし、一部の著名投資家はすでに利益確定の動きを見せ始めています。この動きを受け、6月24日の米国市場では前日比-15.49%と株価が大きく下落しました。

サークル株が高騰した背景とは?

サークルは、米ドルに連動したステーブルコイン「USDC」の発行元として知られています。USDCは、暗号資産取引所コインベース・グローバル(COIN)と共同で2018年にローンチされ、現在の発行残高は620億ドル近くに達しています。これはテザーに次ぐ第2位の規模です。

最近の株価上昇の要因は、仮想通貨市場の回復に加え、ワシントンで進行中のステーブルコインに関する新法案への期待です。この法案により、ステーブルコインの普及が加速するとの見方が広がっています。

また、サークルはUSDCの裏付け資産として保有する米国債からの利息収入も得ています。これが安定した収益源として評価され、投資家からの注目を集めてきました。

現在の株価は割高?19倍の売上倍率と168倍のPER

株価が急騰した結果、サークルのバリュエーションは極めて高い水準に達しています。ファクトセットによると、同社株は2026年の売上見通しの約19倍、利益見通しの約168倍で取引されています。

このような高い評価水準に対し、慎重な姿勢を見せているのがアーク・インベストメント・マネジメント(ARKK)を率いるキャシー・ウッド氏です。同氏の代表的なETF「アーク・イノベーションETF」は、最近サークル株を相次いで売却しました。

キャシー・ウッド、約307,000株を売却

アークの公式ウェブサイトによると、2025年6月23日(月)に30万7000株以上のサークル株を売却しています。これは同ファンドの持ち株の約3分の1に相当します。先週には、アーク関連のファンド全体で計125万株、約2億4300万ドル相当を売却したと報じられました。

キャシー・ウッド氏の投資判断が常に正解とは限りませんが、これだけ大規模な利益確定は多くの投資家にとって注目のシグナルといえます。

アナリストも警戒感──「利益確定のタイミング」

ファンドストラットのデジタル資産戦略責任者であるショーン・ファレル氏も、サークル株の過熱感を指摘しています。同氏はステーブルコイン市場そのものには強気であるとしながらも、現在の株価は「ファンダメンタルズを大きく上回っている」と警告しました。

ファレル氏によると、サークルのバリュエーションを正当化するには、2025年にステーブルコイン市場への投資総額が倍増し、さらに2026年に再度倍増する必要があります。または、サークルがシェアを大幅に拡大し、市場全体の成長をも取り込む必要があります。

そのうえで、同氏は「ステーブルコインは確実に成長するが、現時点では利益確定の好機だ」と結論づけています。

まとめ:ステーブルコインは有望だが、株価は慎重に見極めを

サークル株の急騰は、ステーブルコイン市場の将来性を反映した動きとも言えます。しかし、キャシー・ウッド氏をはじめとする一部のプロ投資家は、すでにリスクとリターンのバランスを見直し、利益を確保する姿勢に転じています。

中長期での成長ポテンシャルはあるものの、現状の株価水準を冷静に見つめ直すことが、投資判断において重要な局面となっているようです。

*過去記事「ステーブルコイン元年:フィサーブ、サークル、コインベースの躍進

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