ビザ株は今が買い時?ステーブルコインと訴訟リスクをどう見るか

  • 2025年6月23日
  • 2025年6月23日
  • BS余話

2025年6月中旬、決済大手ビザ(V)の株価が7%下落しました。きっかけとなったのは、ウォルマートとアマゾンが独自のステーブルコイン導入を検討しているという報道です。これにより、伝統的な決済ネットワークの将来性に疑問符がついたと一部で受け止められました。
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小売業のステーブルコイン構想が意味するもの

ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨と連動して価格が安定するよう設計された暗号資産です。ウォルマートやアマゾンがこれを導入すれば、決済における中間マージンや遅延の解消が期待され、ビザのような伝統的な決済ネットワークを迂回する形になる可能性があります。

ただし、ビザはこの動きを黙って見ているわけではありません。すでにステーブルコイン決済に対応しており、これまでに2億ドル以上の取引実績があります。さらに、アルゼンチンのBBVA銀行と協力して独自のトークンプラットフォームを開発するなど、暗号資産時代への対応を着々と進めています。

訴訟リスクとそれでも堅実な決算内容

ビザは現在、インターチェンジフィー(加盟店手数料)をめぐる大規模な訴訟に直面しています。2025年第2四半期の純利益は前年同期比2%減の46億ドルとなりましたが、その主因は約10億ドルに上る訴訟引当金です。これを除けば、調整後の純利益は54億ドルとなり、前年から6%増加しています。

また、同社は堅実な株主還元を続けています。配当は16年連続増配となり、年間利回りは約2.3%に達しています。さらに、自社株買いにも積極的で、過去3年間で発行済み株式数を9.2%減らしており、直近では新たに300億ドル規模の自社株買い枠も承認されました。

買い増しより保有継続?

現在のビザ株は、予想PER(株価収益率)で36倍と過去3年で最も高い水準にあります。すでに多くの成長期待が織り込まれていると見る投資家もいるでしょう。しかし、世界的な決済インフラを持ち、銀行や規制当局との深い関係を持つビザのビジネスモデルは、簡単に崩れるものではありません。

特に注目すべきは、ビザが新しい金融インフラであるステーブルコインにも真剣に取り組んでいる点です。このように、変化を恐れず先手を打つ姿勢が、同社の競争優位性を今後も維持するカギとなるかもしれません。

まとめ

・ウォルマートやアマゾンの動きは中長期でのリスクとなる可能性
・ただし、ビザもステーブルコイン市場に積極的に対応中
・安定した配当と自社株買いにより、株主還元姿勢は強い
・現在の株価は割高感もあり、買い増しより「保有」が妥当か

投資の判断には、自身のリスク許容度やポートフォリオ全体のバランスも重要です。すでに保有している人は、今後の展開を注視しつつ長期目線で持ち続ける選択肢も十分にありそうです。

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