2025年6月22日、米国がイスラエルとともにイランの核施設を標的とした軍事作戦「ミッドナイト・ハンマー」を開始したことが報じられ、世界中の市場が緊張感に包まれています。バロンズ誌は22日、この重大な出来事の今後の展開について、原油価格や株式市場への影響を含めた「3つのシナリオ」を提示しています。
以下では、その要点をわかりやすくご紹介します。
シナリオ1:イランが降伏を示唆し、平和が訪れる場合
アメリカの軍事行動は、イランに「これ以上の軍事衝突を避ける選択肢」を残すよう設計されているとのことです。過去のイラン・イラク戦争の終結時のように、体面を保ちながらも事実上の敗北を受け入れる可能性があると指摘されています。
この場合、原油価格は下落し、リスク回避姿勢が緩和され、株式市場は上昇するとの見方が有力です。金や米国債のような「安全資産」は売られる可能性があります。
シナリオ2:イランが報復に出る場合
対照的に、イランがイスラエルやアメリカ、または中東の石油供給網に報復攻撃を仕掛ける可能性も否定できません。特に「ホルムズ海峡の封鎖」や「イラクのパイプラインへの攻撃」などが実行された場合、原油価格は1バレルあたり100ドルを超えるリスクもあります。
さらに、イランが保有するとされる濃縮ウランによる「粗末な核兵器」を使用する懸念も浮上しており、その場合には歴史的な市場の動揺が予想されます。株価は大幅下落、安全資産である金や米国債に資金が集中する展開が考えられます。
シナリオ3:イラン体制の崩壊
最高指導者ハメネイ師の高齢化、経済の悪化、国内の不満などから、軍事衝突をきっかけに体制崩壊に向かう可能性もあります。クーデターや民衆蜂起によって政権が転覆すれば、市場の反応はその新政権の性質に大きく左右されます。
たとえば、民主的な改革派が台頭すれば市場は好感するでしょう。一方、より過激な政権が誕生した場合は、地政学リスクの高まりから原油高・株安となるリスクが強まります。
当面は「エスカレーション」に敏感な相場に
現時点でイラン側の公式発表は限られており、ハメネイ師の動向も不明です。そのため、今後の市場は、イランによる報復の有無やその規模、また中東地域の原油供給網への影響に神経質に反応すると見られています。
このような地政学リスクの高まりは、投資家にとって重大な転換点となり得ます。今後の報道や政府発表に注意を払い、原油先物や防衛関連株、金などの動向にも目を光らせておく必要があります。