2025年5月、トランプ大統領はアメリカの原子力産業を再び活性化させるため、4つの大統領令を発令しました。この中には、「原子力エネルギーの生産と運用を最大限に促進・加速する」方針が明記されており、今後のエネルギー政策の中で原子力が中心的な役割を果たすことが明らかになっています。
こうした中で、ウラン供給のリーディングカンパニーであるカメコ(CCJ)が改めて注目されています。
カメコはなぜ注目されるのか?
カメコは、ウランの探鉱から精製、燃料製造までを手掛けるカナダの大手原子力関連企業です。米国の証券取引所に上場するウラン企業としては最大の時価総額を誇り、世界的なウラン供給網の中核を担っています。
2024年には2,340万ポンドのウランを生産し、これは近年の世界的なウラン需要拡大の中で極めて重要なポジションとなっています。また、埋蔵資源としても豊富な量を保有しており、確認済みおよび予測可能な埋蔵量は4億5,700万ポンドに達します。
今後、世界各国で新たな原子力発電所の建設が加速すれば、燃料となるウランの需要も当然ながら増加します。こうした需給の変化は、カメコにとって追い風となります。
小型モジュール炉(SMR)時代にも対応する戦略
原子力のトレンドは、大型プラントから小型モジュール炉(SMR)へと移行しています。カメコは、この次世代の原子炉に必要な高濃縮低濃度ウラン(HALEU)にも対応できる体制を整えています。
特に注目すべきは、同社が49%の出資比率を持つグローバル・レーザー・エンリッチメント社の存在です。この企業は、HALEUの製造技術を保有しており、将来のSMR市場の拡大に伴い、戦略的価値が一層高まる可能性があります。
また、SMR分野では、カイロス・パワーやテラパワーなどの企業が技術開発を進めており、カメコはこうした企業への燃料供給を通じて、間接的にも収益機会を広げています。
政策支援で追い風が続く
トランプ政権のエネルギー政策により、原子力関連プロジェクトの規制が緩和され、開発スピードが加速することが予想されます。特に、米国内でのウラン採掘・精製・流通の効率化は、カメコの米国市場でのポジション強化につながる可能性があります。
さらに、地政学的なリスク回避の観点からも、ウランの供給元の多様化が求められており、信頼性の高い供給体制を持つカメコへの注目度はますます高まっています。
投資家にとっての魅力
・原子力需要の回復とともにウラン価格が上昇傾向
・政策支援による供給サイドの強化
・SMR市場の拡大による中長期的な需要増
・堅牢な埋蔵資源と多角的な事業構造
これらの要因を考慮すれば、カメコは中長期での成長が期待できる有力銘柄といえます。
原子力ルネサンスの中心にいる存在
原子力エネルギーが再び注目される中、燃料供給の中核を担うカメコは極めて重要なポジションにあります。世界的なエネルギーシフトと政策支援の流れを味方につけながら、カメコは投資ポートフォリオに組み入れる価値のある銘柄として注目される存在です。