2025年6月21日、米ストリーミング大手のネットフリックス(NFLX)に対し、ウォール街の著名アナリスト2名が相次いで目標株価を引き上げました。株価はすでに過去1年で81%上昇していますが、それでも成長余地があると見られています。
ウェルズ・ファーゴが目標株価を1500ドルに引き上げ
ウェルズ・ファーゴのアナリストであるスティーブン・カホール氏は、ネットフリックスの目標株価をこれまでの1222ドルから1500ドルへと引き上げました。これは、21日の終値に対して22%の上昇余地を意味します。
カホール氏は、短尺コンテンツやソーシャルメディアクリエイターとの提携に大きな成長機会があると指摘しています。具体的には、YouTubeの人気クリエイターであるMr. Beast氏やMs. Rachel氏のような人物を例に挙げ、こうしたブランドとの独占契約がネットフリックスのエンゲージメントを広げる手段になると述べました。
また、スポーツ中継の拡充とあわせて、ユーザー基盤を拡大しながら売上予想の上方修正につながる可能性もあるとしています。
ピボタル・リサーチも1600ドルへ引き上げ
ピボタル・リサーチ・グループのアナリストであるジェフリー・ウォドラチャック氏も、ネットフリックスの目標株価を1350ドルから1600ドルに引き上げ、評価を「買い」としています。
同氏は「ネットフリックスは世界的にはまだ浸透しておらず、広告付きプランによりエンタメ対コストの魅力が向上している」と指摘。これにより、加入者数と1ユーザーあたりの平均売上(ARPU)の両面で成長が見込めると評価しました。
強気の成長指標と懸念材料
ネットフリックスは2022年に広告付きプランを導入し、2023年にはパスワード共有の取り締まりを開始しました。さらに、コメディ番組のライブ配信やNFL中継なども開始し、他のストリーミングサービスとの差別化を図っています。
2025年4月17日には予想を上回る第1四半期決算を発表し、2025年通期の売上見通しを据え置いています。また、ニールセンによると、2025年5月にはストリーミングサービスの視聴時間が初めて従来のテレビを上回りました。
こうした背景を受けて株価は現在、将来利益の43.5倍という水準で取引されています。これは過去5年間の平均(37.3倍)を上回っており、S&P500指数の平均である21.5倍と比べても割高です。
JPモルガンは「中立」に格下げも
一方で、一部のアナリストは慎重な見方も示しています。JPモルガンのダグ・アンマス氏は、5月19日にネットフリックス株を「オーバーウェイト」から「ニュートラル」に格下げしました。ただし、目標株価は1150ドルから1220ドルへと引き上げており、長期的には依然として成長余地があるとしています。
株価は引き続き上昇中
6月21日の米国市場でネットフリックスの株価は0.75%上昇し、終値は1231.41ドルでした。株価はすでに年初来で38%上昇していますが、今後のさらなる伸びに期待が集まっています。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX