アクセンチュア決算発表:売上・利益は好調も、株価は下落

  • 2025年6月21日
  • 2025年6月21日
  • BS余話

2025年6月20日に発表されたアクセンチュア(ACN)の2025年度第3四半期決算では、市場予想を上回る売上と利益を記録しましたが、株価は7%近く下落しました。これは、リーダーシップの変更や受注高の減少といった複数の要因が重なったためと見られます。

売上・利益ともに市場予想を上回る好決算

アクセンチュアは世界的なコンサルティング企業です。今回発表された第3四半期の調整後1株当たり利益は3.49ドルとなり、ウォール街の予想(3.32ドル)を上回りました。売上高は177億ドルで、こちらも市場予想の173億ドルを上回りました。

一方で、将来の売上につながる受注高(ブッキング)は197億ドルで、前年同期比で7%減少しました。前四半期(209億ドル)からも連続して減少しており、投資家の懸念材料となっています。

経営陣変更とAI事業再編

決算発表に合わせて、アクセンチュアは複数の経営陣変更とともに、AIを中心とした新しい事業部門「Reinvention Services」の設立を発表しました。この部門はアメリカ地域CEOのマニッシュ・シャルマ氏が統括します。

経営陣交代に加え、離職率の増加も株価に影響を与えた可能性があります。CEOのジュリー・スウィート氏は「今四半期は離職率がやや上昇したが、これは一定の範囲で増減するものだ」と説明しました。

生成AI関連の受注は堅調だが伸びは鈍化

アクセンチュアは生成AI関連の受注額が前年比7%増の15億ドルに達したと報告しましたが、前四半期(14億ドル)からの増加ペースはやや鈍化しています。アナリストの中にはこの伸びの鈍化に懸念を示す声もあります。

それでもスウィートCEOは「生成AIは当社の事業にますます深く組み込まれており、今後は多少の変動も見られるだろう」として、需要自体は強いと強調しました。

通期見通しは上方修正、しかし株価は年初来18%安

アクセンチュアは通期の1株利益見通しを12.77〜12.89ドルに上方修正しました(従来は12.55〜12.79ドル)。現地通貨ベースの売上成長率も6〜7%に引き上げられました。

しかし、米国の連邦政府による支出削減への懸念が根強く、同社の株価は年初から18%下落しています。6月20日の株価は前日比で6.86%下落し、285.37ドルとなりました。

量子コンピューティングにも積極投資

アクセンチュアはAI分野だけでなく、量子コンピューティングへの投資も強化しています。2025年1月にはポスト量子暗号技術を専門とするQuSecure社への戦略的投資を発表し、競合との差別化を図っています。

*過去記事「アクセンチュア株価上昇!エヌビディアとの提携が示す未来とは?

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