エヌビディアが原子力に本格投資!ビル・ゲイツのテラパワーと提携

2025年6月18日、エヌビディア(NVDA)がビル・ゲイツ氏創業の原子力開発企業テラパワーに出資したことが明らかになりました。AIによる電力需要の急増に対応するため、米国のテック業界が原子力分野への投資を加速させる中、エヌビディアの動きはその流れを象徴するものです。

テラパワーの革新的原子炉と出資背景

テラパワーは、小型で次世代型の原子炉「ナトリウム高速炉(SFR)」の開発を進めている企業です。今回の資金調達では、エヌビディアのベンチャー部門「NVentures」のほか、HD現代や創業者であるビル・ゲイツ氏などが参加し、合計で6億5,000万ドルを調達しました。同社はこれまでに総額14億ドル以上を集めています。

テラパワーが開発するナトリウム高速炉は、従来の原子炉の3分の1ほどの規模(出力345メガワット)で、冷却材に水ではなく液体ナトリウムを使用します。発電されたエネルギーを溶融塩に蓄えることで、コストと安全性の両立を目指しています。

テック業界の核エネルギー投資が本格化

AIを活用したデータセンターの急拡大に伴い、テック企業は膨大な電力をクリーンかつ安定的に供給する方法を模索しています。その中で、原子力は有力な選択肢とされています。

実際、オープンAIのサム・アルトマンCEOは、小型原子炉開発企業オクロ(OKLO)に投資し、以前は同社の会長を務めていました。また、アマゾン・ドット・コム(AMZN)はXエナジーに出資し、同社から電力を購入する契約を結んでいます。さらに、アルファベット(GOOGL)もカイロス・エナジーとの電力購入契約を締結しています。

エヌビディアの狙いとコメント

エヌビディアのNVenturesを率いるモハメド・“シド”・シデーク氏は、「AIが産業を変革する中で、原子力はその電力需要を支える重要なエネルギー源になる」と述べています。なお、エヌビディアは今回の出資に関する具体的なコメントは控えています。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも、過去にブルームバーグテレビのインタビューで「原子力は持続可能なエネルギーの1つとして素晴らしい」と発言しており、同社の戦略の一環であることがうかがえます。

小型原子炉の実用化には課題も

アメリカには既存の大型原子炉が94基あり、いずれも数十年前に設計された水冷式の技術が使われています。一方で、テラパワーのような企業が開発する小型モジュール炉(SMR)は、建設期間の短縮やコスト削減が期待されていますが、現時点では米国内で商業運転に至った例はありません。

テラパワーは2008年に設立され、現在は米ワイオミング州で最初のプラント建設を進めています。米エネルギー省との間で初号機に関して費用を50/50で分担する契約を結んでおり、2026年までに運転ライセンス取得、2030年の完成を目指しています。

AI時代における原子力の再評価

AIの進化が進む中、電力インフラの再構築は避けて通れないテーマとなっています。エヌビディアのテラパワー出資は、テクノロジー企業が原子力に対して真剣に取り組み始めたことを示す動きです。今後の進展次第では、小型原子炉がAI社会を支える基盤インフラとなる可能性もあります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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