米国株の守りに強い10銘柄:配当+自社株買いの“二刀流”企業とは

  • 2025年6月13日
  • 2025年6月13日
  • BS余話

2025年の米国株式市場は波乱の幕開けとなりましたが、S&P500指数は6,000ポイント台を回復し、ひとまず落ち着きを取り戻しつつあります。ただし、経済成長の鈍化や貿易摩擦、そしてイスラエルとイランの紛争といった懸念材料は依然として残っており、多くの投資家が守備的なポートフォリオへの見直しを進めています。

米国の著名な投資情報誌「バロンズ」は、こうした不透明な環境下で注目すべき投資対象として、配当と自社株買いの両方を安定して実施している企業を取り上げました。本記事では、バロンズが紹介した10社をもとに、守りの資産形成に適した企業を見ていきます。


なぜ「自社株買い」が注目されるのか?

自社株買いは、配当と並ぶ重要な株主還元の手段です。とくに米国では、配当よりも税制面で有利なケースが多く、企業にとっても柔軟に実施できるというメリットがあります。

さらに、自社株買いはしばしば「自社株が割安である」との経営判断を示すシグナルとされ、長期的な株価上昇につながる可能性があります。実際、2024年にはS&P500構成銘柄の企業が9,420億ドルを自社株買いに充てており、配当総額(6,300億ドル)を大きく上回っています


10年以上自社株買いを継続する優良企業10社

バロンズが参考にしたのは、ウォルフ・リサーチのリスト。同社は「10年以上連続で自社株買いを継続している企業」に注目し、そのなかでも配当実績にも優れた“二刀流”の銘柄を厳選しています。

以下に紹介する10社は、景気後退局面でも株主還元を維持してきた、堅実な企業ばかりです。


ロウズ(LOW)

  • 時価総額:1,266億ドル
  • 年初来リターン:-8%
  • 自社株買い:3%
  • 配当利回り:2%
    ホームセンター大手。住宅関連の需要に支えられ、財務体質も健全です。

ジェニュイン・パーツ(GPC)

  • 時価総額:175億ドル
  • 年初来リターン:+9%
  • 自社株買い:0.6%
  • 配当利回り:3.4%
    自動車部品の流通に強みを持ち、景気変動に強い安定収益モデルを構築。

コルゲート・パルモリーブ(CL)

  • 時価総額:755億ドル
  • 年初来リターン:+3%
  • 自社株買い:1.9%
  • 配当利回り:2.3%
    日用品の大手企業。生活必需品という安定需要が強みです。

ウォルマート(WMT)

  • 時価総額:7,898億ドル
  • 年初来リターン:+10%
  • 自社株買い:0.8%
  • 配当利回り:1%
    世界最大の小売チェーン。景気後退期でも売上が落ちにくいビジネスモデル。

アフラック(AFL)

  • 時価総額:560億ドル
  • 年初来リターン:+1%
  • 自社株買い:5.4%
  • 配当利回り:2.2%
    保険業を中心とし、強固なキャッシュフローを維持しています。

カーディナル・ヘルス(CNH)

  • 時価総額:369億ドル
  • 年初来リターン:+32%
  • 自社株買い:3%
  • 配当利回り:1.4%
    医療関連製品の流通企業。高齢化による需要拡大が期待されます。

A.O.スミス(AOS)

  • 時価総額:91億ドル
  • 年初来リターン:-5%
  • 自社株買い:3%
  • 配当利回り:1.9%
    給湯器・浄水器メーカー。インフラ関連で安定的な成長を見込めます。

W.W.グレインジャー(GWW)

  • 時価総額:520億ドル
  • 年初来リターン:+4%
  • 自社株買い:2.5%
  • 配当利回り:0.9%
    産業資材・機器を提供するB2B特化企業。顧客基盤が広いのも魅力。

イリノイ・ツール・ワークス(ITW)

  • 時価総額:720億ドル
  • 年初来リターン:-3%
  • 自社株買い:2%
  • 配当利回り:2.4%
    製造業向けの精密部品や装置を幅広く展開するグローバル企業です。

オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)

  • 時価総額:1,323億ドル
  • 年初来リターン:+12%
  • 自社株買い:1.3%
  • 配当利回り:2%
    人事・給与計算のクラウドサービスで安定的な収益を上げています。

まとめ:守りを固めつつ資産を育てるために

自社株買いと配当、この2つをバランスよく実施する企業は、市場が不安定なときこそ頼りになる存在です。バロンズが紹介した10社は、いずれも長期的に株主還元を継続してきた実績ある銘柄です。

今後の市場に備えて、これらの“守りのエース”をポートフォリオに組み込むことが、中長期的な資産形成の一助になるかもしれません。


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