人工知能(AI)の開発を牽引するオープンAIの最高経営責任者(CEO)、サム・アルトマン氏は、「人類がAIの知性を超えられなくなった瞬間」、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)がすでに訪れているとの見解を示しました。
「私たちはすでにイベントホライズン(事象の地平線)を超えた」と、アルトマン氏は6月11日のブログ投稿で述べています。
「今のAIは思ったほど奇妙ではない」
アルトマン氏は、AIがすでに人間を超える知性を持つ側面があることを認めつつも、現時点では「それほど奇妙な世界にはなっていない」と指摘します。
「ロボットが街を歩いているわけではなく、多くの人が一日中AIと話しているわけでもない。人は依然として病気で亡くなり、宇宙へ簡単に行けるわけでもなく、まだ解明されていないことも多くある」と述べ、AIが日常をすべて変えてしまったわけではないことを強調しました。
AIはすでに多くの人にとって欠かせない存在に
とはいえ、現在運用されているAIシステムは、多くの面で人間よりも賢くなりつつあります。すでに何億人もの人々が日々AIを活用しており、その用途はますます重要性を増しています。
アルトマン氏は、「わずかな能力向上でも大きなプラスの影響を生み出す可能性がある一方で、小さな誤差でも数億人規模で使われれば深刻なマイナスの影響にもなり得る」と警鐘を鳴らしています。
特にプログラミングの分野では、AIによるコード生成が「今後の常識」になると予測しています。
2027年には現実世界で動くロボットも登場?
アルトマン氏は、2026年には新たな知見を生み出すAIシステムが登場し、2027年には現実世界でタスクをこなせるロボットが実現する可能性があると見ています。さらに2030年には、「知性とエネルギー、つまりアイデアとそれを実現する力が極めて豊富になる」とのビジョンを語っています。
エヌビディアとロボティクスの未来
GPUメーカーであるエヌビディア(NVDA)の幹部も最近、「当社はロボット市場のマーケットメイカーである」と発言し、ロボティクス分野の拡大に自信を見せています。AIが仮想空間だけでなく現実の世界でも実行力を持ち始めていることが、より現実味を帯びてきました。
AIの限界も依然として存在
一方で、アップル(AAPL)は、ChatGPTなどの主要なチャットボットが「推論タスク」において依然として不完全であると指摘しています。一般消費者の間では、AIの主な用途は依然として従来のウェブ検索の代替にとどまっており、万能ではありません。