テスラ株が一時急落、ベアードが「買い」から「ホールド」に格下げ

2025年6月9日、米電気自動車大手テスラ(TSLA)の株価が市場開始直後に2.5%下落し、287.65ドルとなりました。その後株価は持ち直しましたが、この急落の背景には、長年テスラ株に強気だったベアードのアナリスト、ベン・カロ氏による格下げがあります。

株価に影響を与えた要因

カロ氏はテスラ株の投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げ、目標株価は320ドルに据え置きました。その理由として、以下の不透明要因が挙げられています。

  • ロボタクシーに対する過度な期待
  • イーロン・マスクCEOに依存する「キーマンリスク」
  • マスク氏とトランプ大統領の対立
  • 電気自動車市場での競争激化
  • 米国におけるEV購入税控除の廃止
  • 高すぎる株価バリュエーション(2025年予想利益の150倍で取引)

ロボタクシーへの期待と現実

テスラ株は4月22日の決算説明会以降、ロボタクシー発表への期待感から約100ドル(45%)上昇していました。報道によれば、ロボタクシーの発表は6月12日に予定されているとされますが、テスラはこれについて正式な発表を行っていません。

トランプ大統領との対立が投資家心理に影響

先週、イーロン・マスク氏がトランプ大統領の税制と財政政策をSNSで強く批判したことで、株価は一時15%下落しました。6月7日には3.7%上昇したものの、今後の対立の行方が不透明なため、投資家心理は不安定です。

テスラ幹部の相次ぐ退任も懸念材料

さらに、ヒューマノイドロボット「オプティマス」の開発責任者であるミラン・コバック氏が6月7日に退職を発表しました。過去にも自動運転担当のアンドレイ・カルパシー氏(2022年)、CFOだったザック・カークホーン氏(2023年)、車両充電部門責任者のレベッカ・ティヌッチ氏(2024年)など、主要幹部の退任が続いています。

AIロボットへの期待は依然高い

テスラのロボット事業はまだ初期段階にありますが、マスク氏は2025年に数千体、2026年にはその10倍のヒューマノイドロボットを製造する可能性があると語っています。AI関連事業への期待感が、依然として株価を支えている要因の一つとなっています。

アナリスト評価の分布と見通し

今回の格下げにより、テスラ株をカバーするアナリストのうち、「買い」と評価しているのは51%となりました(ファクトセット調べ)。これはS&P500企業の平均(約55%)をやや下回っています。アナリストの平均目標株価は308ドルです。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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