バフェット後継を狙う“ミニ・バークシャー”たち──6社の注目株を紹介

  • 2025年6月8日
  • 2025年6月8日
  • BS余話

2025年末にウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)のCEO職を退任することを控え、投資家の間では「次なるバークシャー」を目指す企業群への関心が高まっています。米投資情報誌バロンズは今週末の特集記事で、バークシャーのビジネスモデルを模倣する6社に注目し、それぞれの戦略や業績、評価額を分析しています。

本記事ではその内容を紹介しながら、将来性ある「ミニ・バークシャー」候補たちを見ていきます。


なぜ“保険+投資”モデルが注目されるのか?

ウォーレン・バフェット氏が築いた成功の鍵は、保険事業の利益(特に未払い保険金=フロート)を活用して、株式や企業買収に投資するという独自の「3つのエンジン(保険・投資・完全子会社)」型経営です。この戦略により、バークシャーは過去60年にわたり年平均20%という驚異的な株主リターンを実現してきました。

このバークシャー式モデルに魅了された企業や投資家たちが、現在“第二のバークシャー”を目指して動き始めています。


注目の「ミニ・バークシャー」6社

① フェアファックス・ファイナンシャル(Fairfax Financial Holdings)

カナダを拠点とする保険・投資複合企業で、1985年の上場以来、年平均19.2%という高いリターンを維持。インドの保険や欧州銀行株、海運事業など多角的な投資を展開しています。バークシャーに近い構造を持ちつつ、今も高成長が期待されています。

② マーケル・グループ(Markel Group)

バークシャーを公然とモデルにしている企業で、保険事業と多様な実業を運営するベンチャーズ部門を持ちます。長期的には優れた成績を収めてきましたが、近年は保険部門の低迷が重荷。アクティビスト株主の登場で今後の改善が期待されます。

③ ロウズ(Loews)

パイプライン事業やホテル、不動産、保険子会社(CNA)を保有するコングロマリット。新CEOベン・ティッシュ氏は株主価値の最大化を掲げ、自社株買いを積極的に進めています。株価は割安水準とされており、バリュー投資家にとって注目の存在です。

④ ホワイト・マウンテンズ(White Mountains Insurance Group)

英国ロンドンの保険会社Arkや資産運用関連事業を展開する、バミューダ拠点の保険投資会社。過去10年で年平均10%のブックバリュー成長率を記録しながらも、株価は純資産価値とほぼ同水準と割安感があるとされています。

⑤ ハワード・ヒューズ・ホールディングス(Howard Hughes Holdings)

著名投資家ビル・アックマン氏が主導し、「ミニ・バークシャー」構想を掲げる不動産企業。保険事業の立ち上げや新規企業の買収を通じて、持株会社モデルへの転換を目指しています。アックマン氏の実績を信頼する投資家には面白い選択肢です。

⑥ グリーンライト・キャピタル・リ(Greenlight Capital Re)

デビッド・アインホーン氏が主導する小型再保険会社で、割安株志向のポートフォリオ運用を特徴とします。過去の成績は振るわなかったものの、直近は改善傾向にあり、ブックバリューの大幅割安で取引されている点が注目されます。


バークシャーの代替となり得るのか?

いずれの企業もバークシャーのような「保険と投資の融合モデル」を志向しており、中には株主還元や割安評価によって魅力を増している銘柄もあります。なかでも、フェアファックスやマーケルは構造面・業績面で最も“バークシャーらしさ”を感じさせる企業です。

バークシャー本体の時価総額はすでに1.1兆ドルと巨大化しており、今後の成長率には限界があります。一方で、これらの“ミニ・バークシャー”たちは相対的に小さく、成長余地を残しています。バフェット氏退任後の投資先として、長期的な視点から検討する価値は十分にありそうです。


まとめ

ウォーレン・バフェット氏の退任を契機に、投資家の視線は“次のバークシャー”へと移っています。保険+投資の戦略を採る企業は少数ながらも存在し、それぞれが独自の強みと課題を抱えています。

これからの10年で、バークシャーに代わる“神話”を築くのはどの企業になるのでしょうか?投資家としては今のうちから注視しておきたいところです。


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