2025年6月6日、米半導体大手のエヌビディア(NVDA)の株価は1.63%上昇し、141.72ドルで取引されました。S&P500種株価指数も1%上昇し、市場全体が堅調に推移する中での動きとなりました。
上昇の背景には、同業他社であるブロードコム(AVGO)が前日の決算発表で市場予想を上回る好業績を報告し、人工知能(AI)関連需要が引き続き強いことが確認された点があります。
ブロードコムの好決算と市場の反応
ブロードコムは2025年度第2四半期の決算を発表し、売上・利益ともに市場予想を上回りました。また、AI関連事業については通期で前年比60%の成長を見込んでおり、今期で200億ドル、来期には300億ドル規模にまで拡大するとのガイダンスを示しています。
しかし、同社の株価は決算翌日に5%下落しました。これは、すでに高いバリュエーションを織り込んでいた投資家が、さらなる上方修正を期待していたためと見られます。
他の半導体株も連れ高に
エヌビディアと同じくAI関連で注目されている半導体企業も上昇しました。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は0.43%、マーベル・テクノロジー(MRVL)は4.9%の上昇となりました。
これらの企業もAI向けチップを展開しており、ブロードコムの決算は業界全体の需要の底堅さを示すシグナルとなりました。
AI収益比較:各社のポジショニング
ベンチマーク・リサーチのアナリスト、コーディ・アクリー氏は、今回のブロードコムのガイダンスを受けて、AI分野における主要企業の売上予測を比較しました。
- エヌビディア:2025年のデータセンター売上は1,770億ドルと予想
- AMD:AIアクセラレーター事業からの売上は今年55億ドル、来年74億ドルと推定
- マーベル・テクノロジー:AIコンピューティングおよびネットワーク関連の売上は今年34億ドル、来年45億ドルの見込み
これらのデータからもわかるように、エヌビディアは依然として圧倒的な売上規模を維持していますが、他の企業もAI市場で確実にシェアを広げつつあります。
エヌビディアにとって追い風となる動き
今回のブロードコムの決算は、AI市場における企業の投資意欲が引き続き高いことを示しており、エヌビディアにとってもポジティブな材料となりました。直接的な競合ではないとはいえ、AIチップ需要の広がりは、同社の成長ストーリーを支える重要な要素です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA