2025年6月3日に発表された第1四半期決算を受け、クラウドストライク(CRWD)の株価は時間外取引で一時7%超下落しました。売上とガイダンスが市場予想を下回ったことに加え、バリュエーションの高さや一部アナリストによる格下げが投資家心理を冷やした形です。
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アナリスト評価は「実行力はあるが特筆すべきではない」
大手投資銀行エバコアISIは、クラウドストライクの決算を「堅実だが特筆すべき点はない」と評価。株価に対して慎重な姿勢を示し、格付けを「アウトパフォーム」から「インライン」に引き下げました。目標株価は440ドルとされ、6月3日時点の終値から約10%の下落余地を示唆しています。
同社のレポートでは、繰り返される一時的な問題や未解決の課題が投資家のフラストレーションを高めていると指摘されました。これは、システム障害やコスト構造に対する懸念が依然として残っていることを示しています。
シェア希薄化の懸念と買い戻し戦略
GAAPベースでは、今期も1億1,000万ドルの赤字を計上しており、株式報酬による支出が多い点も目立ちます。営業費用の約25%が株式報酬に充てられており、この傾向は過去4年間で平均3%ずつの発行済み株式数増加として現れています。
こうした希薄化傾向に対し、クラウドストライクは新たに10億ドル規模の自社株買いプログラムを発表。豊富な現金(39億ドル)を活用し、株主価値の維持を図る姿勢を見せています。
高バリュエーションの正当性は維持できるか
クラウドストライク株は、予想売上高に対して24倍という極めて高い倍率で取引されており、これはソフトウェア業界の平均(9倍)と比較しても突出しています。同社は「iシェアーズ拡張テック・ソフトウェアETF(IGV)」における第9位の構成銘柄であり、機関投資家の関心も高い一方で、今後の成長鈍化がこのプレミアムを正当化できるかは議論の余地があります。
成熟フェーズでも注目される理由
クラウドストライクは中期的な成長を続けつつも、企業ライフサイクルとしては成熟フェーズへと移行しつつあります。ARR(年間経常収益)やフリーキャッシュフローは依然として堅調であり、長期的には財務の健全性と利益率の改善が鍵となります。
特に、サイバー攻撃が高度化・頻発化する中で、クラウド型セキュリティソリューションへの需要は今後も拡大することが予想されます。その中で、同社がどう収益性を高め、資本効率を改善していくかが次の注目点となります。