2025年6月2日、イリノイ州議会が新たなスポーツベッティング課税制度を可決したことを受けて、ドラフトキングス(DKNG)やフラッター・エンターテインメント(FLUT)の株価が下落しました。新税は2025年7月1日に発効予定で、ブックメーカー各社の利益に直接影響を与える見込みです。
新税の詳細:1ベットあたり最大50セント課税
今回の税制変更は、週末に州議会が可決した予算パッケージの一部として導入されました。内容は以下の通りです。
- 最初の2,000万ベットに対して1ベットあたり25セントの課税
- それ以降のベットには1ベットあたり50セントを課税
ドラフトキングスとファンドゥエル(フラッターが所有)は、イリノイ州のスポーツベッティング市場で約75%のシェアを持つとされ、今回の税改正による影響は大きいと見られています。
株価への即時反応と市場の見通し
税制可決の報道後、ドラフトキングスの株価は2日の米国市場の寄り付き直後に7%下落しました。イギリスに本社を置くフラッター・エンターテインメントも2.5%下落しています。スポーツベッティング関連銘柄は2025年に入ってから軟調で、今回の税制改正がさらに重しとなる可能性があります。
収益への影響試算と企業の対策
シチズンズ銀行のアナリストによると、ドラフトキングスは2026年において今回の課税によって約7,900万ドル(EBITDAの5.4%)の打撃を受けると試算されています。ファンドゥエルも8,600万ドル(EBITDAの2%)程度の影響が予想されています。
一方で、企業側も以下のような対応策を検討中です。
- プロモーションの縮小
- ベット単価の引き上げ
- 一部または全額を顧客に転嫁
- 州税の影響を受けない連邦規制下の「予測市場」への進出
業界団体の反発とユーザー影響への懸念
スポーツベッティング業界団体「スポーツ・ベッティング・アライアンス」は声明で、「この新たな税負担は最終的に顧客が負うことになる」と指摘しています。また、過度な課税が顧客を未規制・非合法なベッティングサイトへと誘導する懸念も示されています。
他州の動向にも注目集まる
現在、ルイジアナ州、ニュージャージー州、ノースカロライナ州、オハイオ州でもインターネットギャンブルに関する法案が審議されており、今回のイリノイ州の動きが他州に波及する可能性もあります。
2018年の米国最高裁判決により合法化されたスポーツベッティングは、2023年には全米で144億ドルの税収をもたらしました。しかし、その一方でギャンブル依存対策に充てられる予算は微々たるものだとバロンズ誌は指摘しています。
投資家への示唆:短期的な調整リスクと長期成長の両面を見極めるべき局面
ドラフトキングスとフラッターは過去3年で株価を2倍以上に伸ばしてきましたが、2025年は逆風が強まっています。今回のイリノイ州新税は業績に短期的な悪影響を及ぼす可能性があるため、今後の各州の政策動向や企業の対応戦略を注視することが重要です。