2025年5月23日、米国のクラウド型人事・財務ソフトウェア企業であるワークデイ(WDAY)の株価が、2026年度第1四半期決算発表後に11.8%下落し、239.95ドルとなりました(米国東部夏時間14:18時点)。この下落により、年初来の株価はマイナス圏に突入しました。決算内容自体は市場予想を上回るものでしたが、慎重な業績見通しが投資家心理に影響を与えたと考えられます。
2026年度第1四半期の業績概要
ワークデイの2026年度第1四半期(2025年2月~4月)の業績は以下の通りです:
- 売上高:22.4億ドル(前年同期比12.6%増)
- サブスクリプション売上:20.6億ドル(前年同期比13.4%増)
- 調整後1株当たり利益(EPS):2.23ドル(市場予想の2.01ドルを上回る)
- 非GAAP営業利益率:30.2%(前年同期比437ベーシスポイント増)
- フリーキャッシュフロー:4億2,100万ドル(前年同期比44.6%増)
また、サブスクリプション売上のバックログは246.2億ドル(前年同期比19.1%増)となり、今後の売上の安定性を示しています。
慎重な業績見通しと市場の反応
ワークデイは2026年度第2四半期のサブスクリプション売上を21.6億ドルと予想し、前年同期比13.5%の増加を見込んでいます。また、通期のサブスクリプション売上見通しは88億ドルと据え置きました。この慎重な見通しが、投資家の期待に対して物足りなさを感じさせ、株価下落の一因となったと考えられます。
CEOのカール・エッシェンバック氏は、州・地方自治体および教育機関(SLED)セクターにおける連邦政府の予算削減が、IT支出に影響を及ぼす可能性があると指摘しました。ただし、現時点では業績に大きな影響は出ていないと述べています。
アナリストの評価と株主還元策
アナリストの多くは、ワークデイの業績に対して前向きな評価を維持しています。例えば、エバコアは「アウトパフォーム」の評価を継続し、目標株価を275ドルとしています。また、ジェフリーズは「買い」の評価を維持し、目標株価を325ドルとしています。一方、D.A.ダビッドソンは「中立」の評価を維持しつつ、目標株価を230ドルから250ドルに引き上げました。
さらに、ワークデイは10億ドル規模の自社株買いプログラムを発表し、株主還元を強化する姿勢を示しています。
今後の展望と投資家への示唆
ワークデイは、AI技術の導入を強化しており、新たにAIエージェントを開発し、採用プロセスの迅速化や財務業務の効率化を図っています。また、国際市場への展開も進めており、今後の成長が期待されます。
短期的には慎重な業績見通しが株価の重しとなる可能性がありますが、長期的にはAI技術の活用や国際展開による成長が見込まれます。投資家は、ワークデイの戦略的な取り組みと市場環境の変化を注視しながら、投資判断を行うことが重要です。