2025年5月23日、トランプ米大統領は、日本製鉄(5401)とUSスチール(X)との「計画されたパートナーシップ」を承認しました。この発表を受け、USスチールの株価は23日の米国市場で21%上昇し、過去10年以上で最高値を記録しました。
日本製鉄とUSスチールの提携がもたらす経済効果
トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「Truth Social」に、USスチールの本社は「偉大な都市ピッツバーグ」に残り、この提携により、今後14ヶ月間で約7万人の新規雇用が創出され、経済に140億ドルの利益がもたらされるだろうと投稿しました。
この発表により、USスチールの株価は1株あたり52.01ドルで取引を終え、1年間での上昇率は45%を超えました。
買収提案からパートナーシップへの転換
当初、日本製鉄はUSスチールを約149億ドルで買収する計画を発表しましたが、2025年1月にジョー・バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念からこの取引を阻止しました。
その後、トランプ大統領はこの取引を再検討し、外国投資委員会(CFIUS)による審査を指示しました。CFIUSは分裂した意見を提出しましたが、多数派はリスクが軽減可能であると判断しました。
日本製鉄の投資計画と労働組合への対応
日本製鉄は、USスチールの操業に140億ドルを投資する計画を発表しており、そのうち最大40億ドルはペンシルベニア州に新たな製鉄所を建設するために充てられます。
また、同社はアメリカ鉄鋼労働組合(USW)との既存の労働協約を尊重し、労働条件を維持することを約束しています。
今後の展望
このパートナーシップは、アメリカの鉄鋼産業における重要な転換点となります。USスチールは、1901年に設立され、かつてはアメリカの鉄鋼生産の約70%を担っていましたが、現在ではその市場シェアは10%未満に低下しています。
今回の提携により、USスチールは再び競争力を取り戻し、アメリカの製造業の復活に寄与することが期待されています。
トランプ大統領は、5月30日にピッツバーグのUSスチール施設で集会を開催する予定であり、このパートナーシップの意義を強調する場となる見通しです。
このように、日本製鉄とUSスチールの提携は、両国の経済にとって重要なステップであり、今後の動向に注目が集まります。