デッカーズ・アウトドアが21%急落!HOKA成長鈍化と関税リスクが直撃

  • 2025年5月24日
  • 2025年5月24日
  • BS余話

「UGG」や「HOKA」などのブランドを展開する米国の靴メーカー、デッカーズ・アウトドア(DECK)の株価は5月23日の米国市場で、一時約21%下落し、99.68ドルとなりました。これは2012年4月以来の1日あたり最大の下落率です。主な要因は、2026年度第1四半期の業績見通しが市場予想を下回ったことと、関税の影響に対する懸念です。

業績見通しと市場予想の乖離

デッカーズ・アウトドアは、2026年度第1四半期の売上高を8億9,000万ドル〜9億1,000万ドル、1株当たり利益を0.62ドル〜0.67ドルと予想しています。これは、アナリストの予想(売上高9億2,530万ドル、1株当たり利益0.79ドル)を下回る内容でした。同社は、関税の影響や消費者支出の減少などのマクロ経済的不確実性を理由に、2026年度通期の業績見通しを提示しませんでした。

HOKAブランドの成長鈍化

HOKAブランドの売上高は前年同期比で10%増加しましたが、前四半期の17.1%増や前々四半期の29.7%増と比較すると成長が鈍化しています。キーバンクのアナリストは、顧客獲得の減速や競争の激化を指摘し、同社の株式評価を「オーバーウェイト」から「セクターウェイト」に引き下げました。また、ジェフリーズのアナリストは、HOKAの成長鈍化がナイキ(NKE)の市場シェア拡大につながる可能性を指摘しています。

関税の影響とコスト増加

デッカーズ・アウトドアは、関税の影響により2026年度に最大1億5,000万ドルのコスト増加が見込まれるとしています。同社は、価格の引き上げやサプライヤーとのコスト分担などで対応を図る方針ですが、これらの対策が需要に与える影響については慎重な姿勢を示しています。

UGGブランドの堅調なパフォーマンス

UGGブランドの売上高は前年同期比で3.6%増加し、アナリストの予想(4.9%減)を上回る結果となりました。特に卸売チャネルでの成長が顕著であり、春夏向けの新商品が好調に推移しています。

投資家への影響と今後の展望

デッカーズ・アウトドアの株価は、2025年初頭の高値223.98ドルから大幅に下落し、現在は100ドル前後で推移しています。一部のアナリストは、同社のバリュエーションが魅力的な水準にあると評価し、UBSは目標株価を158ドルに引き上げています。しかし、HOKAブランドの成長鈍化や関税の影響などのリスク要因を踏まえると、短期的な回復は不透明です。

デッカーズ・アウトドアの今後の成長には、HOKAブランドの再成長戦略や関税への対応策が鍵となります。また、競合他社との競争激化にも注視する必要があります。投資家は、これらの要因を総合的に考慮し、慎重な判断が求められます。

最新情報をチェックしよう!