2025年5月21日、米国の人工知能企業オープンAIは、元アップル(AAPL)のチーフデザインオフィサーであるジョニー・アイブ氏が設立したスタートアップ企業「io」を約64億ドルの全株式取引で買収すると発表しました。この買収には、オープンAIが既に保有していたioの23%の株式も含まれています。
ioの買収とジョニー・アイブ氏の役割
ジョニー・アイブ氏は、アップルでiPhoneやMacBookなどの象徴的な製品のデザインを手がけたことで知られています。2019年にアップルを退社後、同氏はデザインスタジオ「LoveFrom」を設立し、フェラーリやエアビーアンドビー(ABNB)などと提携してきました。今回の買収により、ioの約55人の従業員はオープンAIに加わり、アイブ氏とLoveFromはオープンAIおよびioのデザインとクリエイティブの責任を担うことになります。なお、LoveFromは引き続き独立した企業として運営されます。
オープンAIのハードウェア戦略と今後の展望
オープンAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、AIを活用した新しいデバイスの開発に向けて、アイブ氏と2年前から協力してきたと述べています。同氏らは、従来のスマートフォンに代わるAIデバイスの開発を目指しており、具体的な製品は2026年に発表される予定です。アルトマン氏は、ioのプロトタイプを使用した経験から、「これまで見た中で最もクールな技術」と評価しています。
アップルの株価への影響と投資家の懸念
この買収発表後、アップルの株価は約2%下落しました。投資家の間では、オープンAIがAIを活用した新しいデバイス市場に参入することで、アップルの既存製品との競合が懸念されています。特に、アップルが進めているAI機能「Apple Intelligence」の展開が遅れていることもあり、オープンAIの動きが市場に不安を与えていると考えられます。
まとめ
オープンAIによるioの買収は、AI技術とハードウェアの融合を加速させる重要な一歩です。ジョニー・アイブ氏のデザイン哲学とオープンAIの技術力が組み合わさることで、従来のデバイスに代わる新しい製品が誕生する可能性があります。これにより、テクノロジー業界全体に大きな影響を与えることが予想されます。