人工知能(AI)関連企業として注目を集めているパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が、週明けの月曜日に下落しました。5月19日午前の米国市場で、株価は3.4%安の125.18ドルまで下落しています。なお、S&P500指数も0.4%の下落となっており、全体相場が軟調な中での下落です。
パランティアの株価は2025年に入り大きく上昇しており、年初来で67%もの上昇率を記録しています。5月14日には過去最高値となる130.18ドルで取引を終えたばかりですが、足元ではその水準を下回る展開が続いています。
材料不足でも利益確定売りが影響か
特段の悪材料がない中での下落ということもあり、直近の急騰による利益確定売りが出た可能性が高いと見られています。AI分野への関心の高まりは、政府および民間企業の両面から見られ、パランティアの成長を強力に後押ししてきました。
とりわけ2025年に入ってからの株価上昇は急であり、その反動が現在の調整に繋がっていると考えられます。
高バリュエーションと高ボラティリティが懸念材料
ただし、ファンダメンタルズ面では慎重な見方も広がっています。パランティアは依然として非常に高いバリュエーションが指摘されており、直近では12か月先の予想利益に対して198倍というPER(株価収益率)で取引されています。
また、ボラティリティを示す3年ベータ値は、3月末時点で1.8と市場平均を大きく上回っていました。最近では1.5にやや低下しているものの、依然として高水準です。これは、市場全体よりも価格変動が大きいことを意味しており、リスクの高い投資対象と見なされる要因の一つです。
商業部門の成長鈍化が今後の課題
5月上旬に発表された第1四半期決算では、売上高がアナリスト予想を上回ったものの、米国外の商業収益が前年同期比で5%減少しました。特に欧州での業績不振が影響しており、同地域での展開に課題が浮き彫りとなっています。
今後の見通しに慎重な声も
AIを活用したデータ分析市場での圧倒的な存在感を期待されているパランティアですが、投資判断については慎重な声も目立ちます。同社の大きな強みは国防分野にあり、米陸軍をはじめとする政府機関での導入が進んでいる一方で、株価の割高感が投資家の判断に影響を与えています。
ファクトセットによると、パランティアをカバーしている26社のうち「ホールド(中立)」評価が16社、「売り」評価が5社、「買い」評価も5社にとどまっており、株価の大幅上昇余地については慎重な見方が大勢となっています。
このように、AIブームの中で注目されるパランティアですが、投資判断を行う際にはボラティリティやバリュエーション、地域別の成長動向にも注目することが重要です。
*過去記事はこちら パランティア PLTR