コインベース、S&P500採用前に株価急騰──ハッキング被害にもかかわらず強さを見せる

  • 2025年5月19日
  • 2025年5月19日
  • BS余話

暗号資産取引所大手のコインベース・グローバル(COIN)が先週、驚異的な株価上昇を遂げました。S&P500指数への採用が発表されたことを受け、株価は5営業日で34%上昇し、これは2020年のトランプ大統領再選時以来最大の週間上昇率となりました。

この動きは暗号資産業界にとっても重要な転換点となっており、コインベースの市場での存在感を改めて示す結果となりました。なお、S&P500への正式な追加は5月19日の取引開始前に実施されます。

ハッキングと調査報道でも止まらない株価

好材料に水を差す形で、15日には約4億ドルの損害が見込まれるハッキング被害の報告と、米国当局によるユーザー数に関する調査の確認が報じられました。このニュースを受けて一時株価は7.2%下落しましたが、それでも週間ベースでは強い上昇を維持しました。

S&P500採用が株価を支える構造

S&P500指数への採用は、インデックスに連動するパッシブ型の投資信託やETFによる買い需要を生むため、株価に大きなサポートをもたらします。Miller Tabakのチーフマーケットストラテジストであるマット・メイリー氏は「ファンドは買わざるを得ない。ファンダメンタルズとは関係ない」と指摘しています。

ただし、こうした買い需要が一巡した以降には、株価が調整局面に入る可能性も示唆されています。

信頼性への影響は限定的か

キーバンク・キャピタル・マーケッツのアレックス・マーク・グラフ氏は、今回のハッキングが顧客の信頼を大きく損なうことはないとの見解を示しています。ただし、金銭的な影響と競合他社──特にロビンフッド・マーケッツ(HOOD)──へのユーザー移行リスクが、一定の圧力になると見ています。

コインベースの成長力には注目が集まる

コインベースは米国最大の暗号資産取引所としての地位を維持しており、2025年の年初来で既に7%以上株価が上昇しています。5月初めに発表された四半期決算では、前年比で約24%の売上増加を記録。また、29億ドルでデリビットの買収を進めており、デリバティブ市場への本格参入を目指しています。

今回のS&P500採用は暗号資産業界全体にとっても大きな一歩であり、他企業の採用可能性や市場の評価にも影響を与える動きとなりそうです。暗号資産を巡る市場のセンチメントが揺れ動く中でも、コインベースはその存在感を高めつつあります。

*過去記事「コインベースがついにS&P500入り!暗号資産ブーム再燃か?最新情報まとめ

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