ユナイテッドヘルス・グループ株が急落、ガイダンス撤回とCEO交代が引き金に

米国の大手医療保険会社ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)の株価が急落しました。2025年の業績見通しを撤回したことがその背景にあります。同社は、医療費の増加が想定以上に続いており、今後の業績に大きな影響を与えると発表しました。

ユナイテッドヘルスは、特にメディケア・アドバンテージ(高齢者向け医療保険)分野で、受診者数が予想の2倍ペースで増加し、その結果として医療費も膨らんでいると説明しています。今年4月にも2025年の業績見通しを下方修正していましたが、わずか1か月足らずで再びガイダンスを撤回する形となりました。

CEOが辞任しヘムズリー氏が復帰

この発表と同時に、最高経営責任者(CEO)のアンドリュー・ウィッティ氏が「個人的な理由」により辞任することも明らかにされました。後任には現会長で、かつて2006年から2017年までCEOを務めていたスティーブン・ヘムズリー氏が就任します。

ヘムズリー氏の経営時代、ユナイテッドヘルスの株価は255%も上昇しており、当時の医療セクターETF(XLV)の上昇率161%やS&P500指数の114%を大きく上回る成績を記録しています。

株価は17%超の下落、過去最大級の急落幅に

5月13日の米国市場で、ユナイテッドヘルスの株価は17.83%安の311.22ドルとなり、2020年11月以来の安値を記録しました。4月の決算発表後からユナイテッドヘルス株はすでに50%近くも下落しています。

同業他社にも波及、医療保険業界全体が下落

ユナイテッドヘルスの不調は、同業他社の株価にも影響を与えました。CVSヘルス(CVS)は6.65%下落し、ヒューマナ(HUM)は9.6%安、センティーン(CNC)は6.23%安、エレバンス・ヘルス(ELV)は9.94%安となりました。

米国みずほ証券のアナリストであるアン・ハインズ氏は、CEO交代は予想されていたものの、ガイダンスの撤回は市場にとって「驚きだった」と述べています。また、同社のメディケア・アドバンテージ部門の加入者数は2桁成長を続けており、これがユナイテッドヘルス特有の問題なのか、業界全体のトレンドによるものなのかは依然として不透明です。

政府の薬価引き下げ圧力も重しに

ザックス・インベストメント・マネジメントのブライアン・マルベリー氏は、ユナイテッドヘルスがオプタムRx(薬剤給付管理部門)において、政府主導の薬価引き下げの影響を受けていることにも言及しています。この政策は業界全体にとっての収益圧迫要因となっており、ユナイテッドヘルスもその例外ではありません。

同社は2026年には再び成長軌道に戻るとしていますが、短期的には不透明感が続く見通しです。

*過去記事「ユナイテッドヘルス株が歴史的暴落!27年ぶりの急落、その理由とは?

最新情報をチェックしよう!