アルファベットの企業価値を高める「分割論」:米Yahoo!ファイナンスが報じた注目の分析

米Yahoo!ファイナンスが5月13日に報じた最新インタビュー記事では、米証券会社DAダビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏がアルファベット(GOOGL)の分割について詳細な見解を示しています。

ルリア氏は、検索エンジン市場での競争環境が急速に変化する中で、アルファベットが事業を分割しないままでは株価が著しく低迷し続けると警鐘を鳴らしています。特に、生成AIの台頭によって従来の検索事業が持つ競争優位性が揺らいでいる点が大きな要因とされています。

独禁法裁判とDOJの対応

記事では、アルファベットが検索エンジン市場で違法な独占状態にあると認定された2024年8月の米連邦地裁の判決にも触れています。これを受けて米司法省(DOJ)は、Chromeや広告ネットワーク、モバイルOS「Android」事業の売却を求める方針を示しています。

一方でルリア氏は、こうした部分的なスピンオフでは不十分であり、YouTube、Google Cloud、Waymo、AI関連事業などをそれぞれ独立した上場企業として分離すべきだと提言しています。

分割後の企業価値試算と株価の上昇余地

記事によると、アルファベット全体の時価総額は現在2兆ドル以下ですが、各事業を分割して個別に評価すれば総額3.7兆ドルに達する可能性があるとルリア氏は試算しています。具体的には、Google Cloudはスノーフレーク(SNOW)、Waymoはウーバー(UBER)、YouTubeはネットフリックス(NFLX)、AI関連事業はエヌビディア(NVDA)といった同業他社と比較される形で評価されるとしています。

ルリア氏は、アルファベットの株価が現在の160ドル台から、分割後は240〜300ドル程度まで上昇する余地があると予測しています。

「溶けゆく氷」となった検索事業

記事では、アップル(AAPL)がSafariでのGoogle検索数の減少を明かした証言も取り上げています。これにより、Googleの検索事業が将来的にAIチャットボットとの競争に敗れる可能性が指摘されています。

ただし、記事内でも言及されている通り、アップルがこの証言を通じてアルファベットとの大型契約を維持しようとしている意図も考慮する必要があるとしています。

分割実現への課題

ルリア氏は、アルファベットの支配権が創業者であるセルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏に集中しているため、アクティビスト投資家による介入が難しいと指摘しています。そのため、株主価値を重視する経営判断が下されるかが今後の焦点となっています。

まとめ

米Yahoo!ファイナンスが報じたこの記事は、アルファベットの分割による企業価値向上の可能性を多角的に分析しています。生成AIによる市場構造の変化や独禁法の影響を背景に、今後のアルファベットの経営戦略が注目されています。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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