2022年、アルファベット(GOOGL)はアップル(AAPL)に対して約200億ドルを支払い、iPhone上でGoogle検索をデフォルト設定として維持してきました。この取り決めは現在も継続中ですが、アメリカ司法省による反トラスト訴訟「U.S. v. Google」によって大きな転機を迎えています。
訴訟では、連邦地方裁判所のアミット・メータ判事が、アルファベットが米国の検索エンジン市場において独占的地位を有しており、その立場を利用して競争を排除したと判断しました。
判決後のペナルティ協議とアップルの動き
アルファベットに対するペナルティを決定するための2週間にわたる裁判が終了し、その後、多くの第三者が「法廷助言書(アミカス・ブリーフ)」を提出しました。その中にはアップルの意見も含まれており、自社の利益を強く主張しています。
司法省と原告州が提案している救済措置の一つに、「検索エンジンの配置に対して、アルファベットがアップルに一切の価値あるものを提供してはならない」という案があります。これが認められると、アップルは毎年の多額の収益源を失う可能性があります。
新興勢力の台頭とアップルの主張
アップルは、Google検索の利用回数がサファリブラウザ上で前年同期比で減少していると述べています。これは消費者がChatGPTやClaude、Perplexityといった新しいAI型検索サービスへと移行しているためだと分析しています。
この点について、アップルのサービス部門上級副社長であるエディ・キュー氏も証言しており、その発言を受けてアルファベットの株価は7.3%下落しました。
アップルは「真の競争が実現しつつある」として、検索市場の競争環境がすでに変化し始めていると強調しました。
AI検索エンジンとの競争を後押しする提案
さらにアップルは、アルファベットに対して自社の検索インデックスおよび広告インデックスを競合他社と共有させるという厳しい救済措置を支持する姿勢も見せました。現状ではAI型検索サービスはアルファベットほどの巨大なインデックスを保有していませんが、より多くのデータにアクセスできれば、その性能は飛躍的に向上すると期待されています。
アップルは、もし本当に競争を促進したいのであれば、こうしたAI企業へのデータ共有が最も有効だと主張しています。
アルファベットとの関係より自社利益を優先するアップル
アップルは過去にも、ヨーロッパ連合との係争やEpic Gamesとの訴訟において、自社の利益を最大化するために強硬姿勢を貫いてきました。今回の件でも、仮にアルファベットが不利な立場に追い込まれることになっても、自社の利益を守ることを最優先とする姿勢を明確にしています。
今後、検索エンジン市場は従来の大手勢力だけでなく、AI技術を武器にした新興企業によって大きく揺れ動く可能性があります。検索の未来を巡るこの争いからは、目が離せません。