ピンタレストが好決算で急騰、広告収益の堅調さが鮮明に

アメリカの写真共有SNS大手、ピンタレスト(PINS)の株価が、2025年第1四半期決算の発表を受けて急上昇しました。トランプ大統領による広範な関税措置が他企業に影響を与える中、ピンタレストはその影響を最小限にとどめ、広告主の支出がプラットフォーム上で堅調に推移しています。

第1四半期は売上成長とユーザー数拡大が顕著

ピンタレストの第1四半期の売上高は前年同期比で16%増となり、ウォール街の予想を上回りました。また、世界の月間アクティブユーザー数は10%増の5億7000万人となり、堅実な成長を示しました。

第2四半期の売上高ガイダンスも好調で、9億6000万ドル〜9億8000万ドルと市場予想を上回る水準が示されました。

同社の最高財務責任者ジュリア・ドネリー氏は、「第1四半期の業績は力強く、第2四半期の初期データにも健全な傾向が見られる」と述べました。

株価は3日間で13.7%上昇

決算発表後の5月9日午前、ピンタレストの株価は一時10.2%上昇しました。この3日間での上昇率は13.7%に達し、2025年2月11日までの3日間で17.8%上昇して以来、最大の上昇幅となりました(ダウ・ジョーンズ・マーケット・データ調べ)。

トランプ大統領による関税政策の影響が多くの企業に波及する中で、ピンタレストは広告主が他のプラットフォームから広告予算を再配分したことで、マイナスの影響を免れたとみられています。

アジア系広告主の支出減と地理的分散

ドネリー氏は、「関税の影響で一部のアジア系EC企業による広告支出が減少している」と述べたうえで、「その一方で、こうした企業はヨーロッパやその他地域のユーザーへの広告出稿を進めており、この傾向は数四半期にわたり継続している」と語りました。

アナリストは強気姿勢を維持

ウェドブッシュ証券は、ピンタレストの強い決算と前向きな第2四半期のガイダンスを評価し、同社の株に対する「アウトパフォーム」の評価を再確認しました。アナリストのスコット・デヴィット氏は、ピンタレストへの広告支出が他のデジタル広告企業と同様に堅調であると分析し、目標株価を38ドルから40ドルに引き上げました。

これは、ガイダンスの提示を見送ったスナップ(SNAP)や広告支出の見通しを引き下げたロク(ROKU)などとは対照的な動きです。

成長への取り組みと競争環境

モネス・クレスピ・ハートのアナリストであるブライアン・ホワイト氏は、ピンタレストの株価上昇を「9日のラリーに値する」と評価し、買い推奨を維持しました。ホワイト氏は、「同社は広告主向けのサポートを強化し、ユーザー体験の向上、ショッピング機能の拡充、第三者広告パートナーの活用を進めている」と指摘しています。ただし、競争が激しい市場環境と景気変動に影響を受けやすいデジタル広告分野の性質にも注意が必要です。

アナリストの大半が強気

ファクトセットの調査によると、ピンタレストをカバーするアナリスト44人中34人がピンタレスト株に強気の見方を示しており、中立が9人、弱気は1人となっています。

2025年のピンタレストの株価は年初来で5.8%上昇しており、S&P500指数(SPX)の3.4%の下落を大きく上回っています。

今後もピンタレストの広告収益の持続力と、世界的なユーザー基盤の拡大が株価を支える鍵となりそうです。

*過去記事はこちら ピンタレスト PINS

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