アルファベットの反撃開始!検索シェアを巡るアップルとの対立が加速

グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)の株価は、前日に7.5%下落した後、5月8日午前の取引で2%以上反発しました。この下落は、アップル(AAPL)の幹部が、iPhoneのSafariブラウザにおける検索トラフィックがAIの影響で減少したと証言したことがきっかけでした。これに対し、グーグルは自社ブログで「検索全体のクエリ数は依然として増加しており、その中にはアップルのデバイスやプラットフォームからの検索も含まれる」と反論しています。

音声検索や視覚検索が成長を後押し

グーグルは、検索ボリュームの増加要因として音声検索や視覚検索の台頭を挙げています。ただし、グーグルとアップルがそれぞれどのように検索ボリュームを測定しているのかは明確ではありません。この発言は、AIが従来の検索ビジネスに与える影響について市場の懸念を払拭する狙いがあると考えられます。また、司法省がグーグルをオンライン検索市場の独占企業と認定し、事業分割を求めている中で、AIによる競争の激化がその主張を和らげる材料になる可能性もあります。

グーグルとアップルの複雑な利害関係

アップルは、AI検索の代替としてオープンAIやPerplexity AIの導入を検討しているとされています。一方で、アップルは2022年にグーグルから200億ドルの支払いを受け取っており、自社デバイスにおける検索収益において深く関係しています。この取り決めがグーグルに有利に働くよう、検索市場での競争が激化していることを強調する動機もあります。

JPモルガンのアナリストであるダグ・アンマス氏は、アルファベット株の前日の急落を「過剰な反応」と評価し、投資判断を「オーバーウェイト」に据え置き、目標株価を195ドルとしています。

グーグルのAI戦略と収益の現状

グーグルは、AI技術を検索サービスに組み込む「AI Overviews」などを通じて、新しいユーザー体験を提供しつつ、広告収益の安定を図っています。直近の決算では、このAI Overviewsが従来の検索と同水準の収益を上げていることが明らかになりました。

TDカウエンのアナリストであるジョン・ブラックレッジ氏は、「グーグルが提供するチャットボットやGeminiアプリを通じたAI検索は、現時点では従来の検索のシェアと同等のクエリシェアを獲得する段階には至っていないが、全体としてアルファベットは優れた生成AI技術を有している」とコメントしています。

AIの進化とともに、グーグルとアップルの関係性は今後さらに複雑化していくと見られます。検索市場を巡るこの競争の行方は、両社の収益構造や株価にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。

*過去記事「アップルがSafariにAI検索導入か?Googleとの200億ドル契約に変化の兆し

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