エヌビディアに追い風!トランプ大統領がAIチップ輸出ルールを見直しへ

トランプ政権がバイデン政権下で導入されたAI半導体の輸出規制「AIディフュージョン・ルール」の撤廃を検討しているとの情報を5月7日、ブルームバーグが報じました。アメリカの半導体政策にとって大きな転換点となる可能性があり、注目を集めています。

AIディフュージョン・ルールとは

AIディフュージョン・ルールは、先端AIチップの輸出を制限する新たな枠組みとして、バイデン政権が退任間際に導入しました。この規則では、各国を三つのカテゴリに分け、それぞれに異なる規制レベルを適用する仕組みを導入しています。

アメリカ政府は、この制度により中国が第三国を経由して先端AI技術を入手することを防ぐとともに、友好国との技術協力を強化する狙いがありました。しかし、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など、多くの国々から反発が相次いでいました。

トランプ政権の方針転換と背景

今回報じられたトランプ政権の方針転換は、AI技術の国際的な供給網を重視するアメリカの大手IT企業や、中東諸国の要望に応える形で進められているようです。特に、UAEやサウジアラビアはAIチップの調達制限に強い不満を持ち、アメリカとの政府間協定を模索しています。

一部報道では、トランプ大統領が5月13日から16日にかけて中東を訪問し、AIチップ輸出に関する合意形成に向けた協議を行う予定であると伝えられています。

規制見直しがもたらす影響

報道が出た後、アメリカの半導体メーカーの株価が上昇しました。エヌビディア(NVDA)は3.1%上昇し、フィラデルフィア半導体指数は1.7%の上昇を記録しました。

エヌビディアは以前からAIディフュージョン・ルールに強く反対しており、CEOのジェンスン・フアン氏は、過度な輸出規制がかえって第三国を中国側に引き寄せると警鐘を鳴らしていました。

この規制見直しにより、マレーシアやインドなど、これまで制限対象となっていなかった国々が一時的に規制緩和の恩恵を受ける可能性があります。特に、オラクル(ORCL)が進めているマレーシアでの大規模データセンター拡張計画には追い風となる展開です。

新たな規制の方向性と今後の展開

AIディフュージョン・ルールの全面撤廃が検討される一方で、トランプ政権は引き続き中国への技術流出を防ぐ姿勢を強めています。たとえば、中国へのチップ転用が見られる国(マレーシアやタイ)に対しては新たな輸出規制を導入する方針が示唆されています。

また、AIチップに加えて、ソフトウェアがデータ処理や予測・意思決定に用いる数値パラメーターであるAIモデルウェイトの輸出管理についても今後の議論対象となる見込みです。これらの規制は、米中間の技術覇権争いの中で重要な意味を持つ項目です。

まとめ

今回の報道が示すように、アメリカの半導体輸出政策は今後大きく動く可能性があります。トランプ政権の規制緩和は、米企業にとって新たなビジネスチャンスをもたらす一方で、技術流出リスクや地政学的リスクも伴うものです。半導体産業に関わるすべての関係者にとって、今後の政策動向を注視することが重要となります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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