アップル、アプリ内課金巡る裁判で米連邦地裁から厳しい指摘

アップル(AAPL)が、アプリ内課金に関する裁判で再び注目を集めています。2021年、ゲーム開発会社エピック・ゲームズがアップルを独占禁止法違反で提訴したことが発端でした。この裁判でアップルは大部分で勝訴したものの、米国内のApp Storeにおいて外部の決済手段を許可するよう命じられました。

この命令(インジャンクション)は上訴を経て2024年1月に正式に発効。しかしアップルはその後も、外部決済を利用する開発者に対して27%の手数料を課すなど、実質的に従来のビジネスモデルを維持していたのです。

裁判所、アップルの対応を強く非難

4月30日夜、カリフォルニア州の連邦地方裁判所のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース判事は、アップルの対応について「命令の目的を妨げ、反競争的な行動を継続している」と厳しく批判しました。判事はさらに「この命令は交渉ではなく、法的拘束力のあるものである」と明言し、即時の対応を求めました。

また、アップルが実際には自社の利益を守るために最も反競争的な選択肢を選び続けていたことが、社内文書などから明らかになったとしています。ロジャース判事は本件を、カリフォルニア州北部地区連邦検事に刑事的な侮辱罪としての対応を要請しました。

投資家への影響と今後の見通し

アップルは裁判所の決定に「強く反対する」とのコメントを出しつつ、命令には従い、控訴する意向も示しています。しかしこの報道を受け、同社の株価は時間外取引で1.7%下落しました。

投資家の間では、アップルのサービス収入、特にApp Storeからの収益に対する影響が注目されています。エバコアのアナリストであるアミット・ダリヤナニ氏によれば、アメリカ国内のApp Store収入約60億ドルがリスクに晒されているものの、開発者の多くが引き続きアップルの決済システムを利用し続ける可能性が高いため、実際の影響は限定的と見られています。

仮にすべての収益が失われた場合でも、アップルの1株当たり利益に対する影響は0.30ドル、すなわち2025年度の利益の約4%程度にとどまると試算されています。

おわりに

今回の判決は、アップルにとって厳しい現実を突きつけるものであり、今後の事業運営や法的戦略に大きな影響を与える可能性があります。米国のテクノロジー業界におけるプラットフォーム企業の力の使い方が再び問われており、投資家としてもその動向を注視していく必要があります。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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