ファーウェイ新AIチップ登場も、エヌビディアの牙城は揺るがず!その理由とは

2025年4月末、米国市場では再びエヌビディア(NVDA)の株価が大きく動きました。背景には、中国テクノロジー大手ファーウェイが新たなAIチップ「Ascend 910D」の開発を加速しているとの報道があります。しかし、専門家の見解では、現時点でエヌビディアが大きな市場シェアを失うリスクは限定的だとされています。

Ascend 910Dの特徴と限界

米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、ファーウェイは来月にも新型チップのサンプル出荷を開始する見込みです。Ascend 910Dは、複数のシリコンダイを統合するパッケージング技術を用いることで性能向上を狙っています。しかしながら、同チップはエヌビディアのH100に比べて消費電力が高く、効率面で劣ると指摘されています。

過去のAscendシリーズでも、2019年のAscend 910、2023年の910B、そして最近の910Cがリリースされていますが、いずれもTSMCやSMICの7ナノメートル製造プロセスに依存しており、エヌビディアの最先端技術には及びませんでした。今回の910Dも同様に、製造技術の制約から性能的に限界があるとみられています。

エヌビディアへの影響は限定的

独立系リサーチ会社Radio Free Mobileの創業者リチャード・ウィンザー氏は、ファーウェイの新チップについて、「中国国内では影響力を持つものの、グローバル市場では競争力に欠ける」と分析しています。コスト高や政治的リスクを嫌い、中国国外の企業がファーウェイ製チップを採用する可能性は低いという見方です。

さらに、エヌビディアは既に「ブラックウェル」世代の次世代AIチップを発表しており、数兆パラメータ規模のモデルにも対応できる設計となっています。これにより、トレーニングや推論の速度・コスト効率で依然として世界をリードしています。

中国市場での懸念

とはいえ、ウィンザー氏は、中国政府が国内企業に対し、エヌビディアのCUDAプラットフォームからファーウェイ製プラットフォームへの切り替えを強制するリスクについても指摘しました。これにより、エヌビディアの中国市場での売上減少が加速する可能性はあります。

ただし、これらの動きは主に中国国内に限定されるとみられており、グローバル市場においては、エヌビディアが優位を保つ構図に大きな変化はないと考えられます。

まとめ:長期的な視点で見るエヌビディアの成長ポテンシャル

短期的には、中国市場でのシェア低下リスクがあるものの、エヌビディアは依然として世界のAI革命を牽引する存在です。AIスタートアップxAIによる大型資金調達や、オラクル向け「GB200 NVL72ラック」の稼働開始といった明るいニュースもあり、グローバル需要の拡大に支えられた成長期待は引き続き高いといえます。

ファーウェイの動きは注視すべきですが、現段階でエヌビディアのグローバルな競争力に大きな陰りが見えるわけではありません。投資家にとっては、冷静な状況分析と長期目線での判断が求められる局面となっています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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