テスラ(TSLA)の株価は4月25日に9.8%上昇し、終値は284.95ドルとなりました。この株価上昇の背景には、米国運輸長官ショーン・ダフィー氏が発表した自動運転車に関する新たな枠組みがあります。この枠組みは安全性を最優先にしつつ、イノベーションの推進と商業展開を可能にすることを目的としています。
ダフィー氏は「われわれは中国とのイノベーション競争に直面しており、非常に重要な局面にある。今回の新枠組みは、規制の簡素化を図り、革新を促進し、安全性を優先する全国統一基準に近づくものだ。」とコメントしました。
自動運転技術に賭けるテスラ
今回の発表は、自動運転技術に大きく賭けているテスラにとって非常に好材料となりました。テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は2024年4月、「テスラが自動運転を実現できないと考えるのであれば、その人は当社に投資すべきではない」と発言しています。
テスラは、テキサス州オースティンで6月に自動運転タクシーサービスを開始する計画を進めています。さらに、2026年にはロボタクシー専用車「サイバーカブ」の生産開始を予定しています。24日にはこのニュースを受けて、テスラの株価は3.5%上昇しました。
アルファベットのウェイモにも追い風
この動きは、アルファベット(GOOGL)が展開する自動運転タクシーサービス「ウェイモ」にとっても追い風となっています。ウェイモはサンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックス、オースティンで完全自律型の有料乗車サービスを展開しており、週に25万件以上のライドを完了しています。年内にはアトランタでもサービスを開始する予定です。
テスラへの規制緩和も進展
ダフィー氏は、イーロン・マスク氏がかねてから批判していたプログラムの簡素化にも着手しました。国家道路交通安全局(NHTSA)は、高度運転支援機能を搭載した車両に関する事故報告の常設命令は維持するものの、月次報告の義務は撤廃することになりました。
テスラは、接続車両の比率が非常に高いため、事故発生時にドライバーアシスト機能が使用されていたかを自動的に把握できる唯一の自動車メーカーです。他の自動車メーカーは、主に警察の報告書などに頼る必要があり、テスラが事故件数を最も多く報告していた背景にはこうした事情がありました。
自動運転の本格普及に向けた今後の課題
新しい枠組みの発表は、自動運転車の導入を容易にするものではありますが、依然として車両自体に自律的な運転技術を習得させるという本質的な課題が残っています。テスラをはじめとする各社の技術開発競争が、今後ますます激化することが予想されます。
テスラ、絶好調な一週間を締めくくる
今週のテスラ株は、18%の上昇を記録し、2024年11月8日(大統領選挙の週)以来、最も大きな週間上昇率となりました。22日には決算発表も行われ、イーロン・マスク氏が今後数か月間、テスラにより多くの時間を割く意向を示したことも、投資家心理を後押ししました。
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