ユナイテッドヘルス株が23%急落で過去最大級の下げ!業績下方修正の全貌とは?

米国の大手医療保険会社であるユナイテッドヘルス・グループ(UNH)の株価が、4月17日の米国市場で約23%も急落しました。これは1998年8月6日以来、最大の1日における下落率となっています。株価は450ドルを切るまで下がり、ダウ工業株30種平均(DJIA)もこの影響を受けて下落しました。

予想を下回った決算と通期見通しの下方修正が株価を直撃

ユナイテッドヘルス・グループは第1四半期の決算で調整後1株利益が7.20ドルとなり、ファクトセットの予想7.29ドルを下回りました。売上高は1,096億ドルと前年同期比で98億ドル増加しましたが、アナリスト予想の1,116億ドルには届きませんでした。

さらに、2025年の調整後1株利益見通しを26ドル〜26.50ドルに引き下げたことも投資家心理を冷やしました。これは、2024年12月時点で発表していた29.50ドル〜30ドルから大幅な下方修正となります。

メディケア・アドバンテージ部門の医療利用増加が影響

業績の下方修正の背景には、ユナイテッドヘルスの保険部門であるユナイテッドヘルスケアにおいて、メディケア・アドバンテージ(高齢者向け民間保険)利用者の外来および医師診療の利用率が予想を上回ったことがあります。また、バイデン政権下で実施されたメディケアの資金削減の影響も想定より大きかったと説明しています。

ユナイテッドヘルスケアの第1四半期の売上高は846億ドルで、前年の754億ドルから増加しました。一方、医療サービス部門のオプタムでは639億ドルと、前年の611億ドルからやや伸びを見せました。

CEOのアンドリュー・ウィッティ氏は、サービスの拡大に成功しているものの、第1四半期の業績は期待に届かなかったと述べ、メディケア関連の逆風は2026年にかけて克服可能との見解を示しています。

2026年のメディケア報酬率引き上げが今後の回復材料に

2025年は医療費の上昇により厳しい年になると予想されていますが、アメリカ政府がメディケアの報酬率を5.06%引き上げると発表したことで、2026年以降の業績改善に期待が集まっています。これは当初提案されていた2.23%の引き上げ幅を大きく上回るもので、医療保険業界全体に約250億ドルの追加収益をもたらすと見込まれています。

ユナイテッドヘルス・グループは、国内市場に特化した企業として貿易摩擦の影響を受けにくいという特徴がありますが、今後は医療費の動向と政策の変化により、株価の変動が続く可能性があります。今後の回復には、事業の効率化と政策対応の柔軟性が重要な鍵となりそうです。

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