米動画配信大手のネットフリックス(NFLX)は4月17日、2025年第1四半期において、市場の予想を上回る利益を報告しました。世界経済が不透明な中でも、エンターテインメントビジネスは堅調であるとの見解を示し、今後の事業運営にも自信を見せています。
景気後退の影響は軽微、価格改定と広告収益が好調を牽引
ネットフリックスの純利益は前年同期の23.3億ドルから13%増加し、28.9億ドルに達しました。アナリストの予想(24.8億ドル)を大きく上回る結果となっています。1株当たり利益は6.61ドルで、こちらも市場予想の5.67ドルを上回りました。
売上高は104億ドルとなり、前年同期の94億ドルから増加。アナリスト予想と一致しました。売上の成長には、1月に実施された価格改定が寄与したとされています。また、為替変動の影響を除いた場合、売上は16%増加していたと会社側は説明しています。
株価はアフターマーケットで上昇
決算発表を受けて、ネットフリックスの株価は時間外取引で3.4%上昇しました。最近の関税をめぐる経済不安の中でも、市場の平均を上回るパフォーマンスを見せており、投資家の期待が高かったことがうかがえます。
消費者の動向に大きな変化なし、グローバル展開が安定性を支える
共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏とテッド・サランドス氏は、現在のところ消費者からの反応に顕著な変化は見られず、ネットフリックスが経済的な逆風に強いビジネスモデルであることを強調しました。
ネットフリックスは50か国以上でコンテンツを制作しており、アメリカ国内の景気減速による影響を分散できる体制が整っています。
広告付き低価格プランとスポーツ配信が成長を後押し
ピーターズ氏は、広告付きの低価格サブスクリプションプランが、支出を抑えたい顧客を引きつける役割を果たしていると述べました。現在広告ビジネスの規模はまだ小さいものの、2025年には広告収益が倍増する見込みです。
また、ライブスポーツイベントへの参入も進んでおり、これが将来的な成長の起爆剤になると期待されています。
今後の成長戦略:2030年に売上倍増、時価総額1兆ドルを目指す
ネットフリックスは、2030年までに売上を現在の約2倍に拡大し、時価総額1兆ドルの達成を目指していると報じられています。2024年末時点の加入者数は約3億人でしたが、2030年には4億人まで増加させる計画です。また、年間営業利益も現在の104億ドルから3倍に増加させることを目指しています。
会社側は、これらの目標はあくまで社内での議論の一環であり、公式な予測ではないと説明しています。
第2四半期および通年見通しも堅調
2025年第2四半期については、価格改定の影響とサブスクリプションおよび広告収益のさらなる成長により、15%の売上増を見込んでいます。
年間売上は435億ドル〜445億ドルを見込んでおり、堅調な会員増、サブスクリプション価格の上昇、広告収益の倍増が背景にあるとしています。
このように、ネットフリックスは経済の不確実性の中でも安定した業績と成長戦略を打ち出し、引き続き注目される存在となっています。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX