エヌビディア(NVDA)の株価が4月16日の米国市場で大幅に下落しました。背景には、アメリカ政府が同社のH20チップの中国への輸出に新たな規制を課したことがあります。この動きにより、「中国市場からの収益減少が避けられないのではないか」との懸念が広がりました。
しかし、米国の投資情報メディア「バロンズ」は、今回の株価急落を「過剰反応ではないか」と分析しています。以下、その内容を要約してご紹介します。
規制の影響は限定的、長期的成長見通しに変化なし
バロンズによると、今回の規制対象であるH20チップは、もともと米中間の輸出規制を前提に中国市場向けに開発された製品です。最先端チップと比べると性能が大きく劣るため、今後の技術進化の中で自然と市場からフェードアウトしていく運命にありました。
そのため、今回の追加規制による業績への影響は一定程度にとどまり、長期的な成長ストーリーを崩すものではないと指摘されています。
アナリストの見解:限定的な業績影響と強気の見方
例えば、バンク・オブ・アメリカのアナリストは、今回の規制が2025年の売上高に5〜8%、EPSに6〜10%の影響を与える可能性があるとしつつも、エヌビディアの最新チップ「ブラックウェル」からの業績貢献がその下振れを相殺する可能性があると述べています。
また、モルガン・スタンレーのアナリストも同様に、H20の販売減少は織り込み済みであり、見通しへの変更は不要との見解を示しています。
依然として高まるAI需要
記事では、AI関連の需要が非常に旺盛であることにも触れています。オープンAIのChatGPTやxAIのサービスは、いずれもエヌビディアのGPUを活用しており、利用者数の急増によりシステムに負荷がかかるほどの状況です。
さらに、エヌビディア自身も今後4年間でアメリカ国内に最大5,000億ドル規模のAIインフラを構築する計画を発表するなど、成長に対する意欲を示しています。
投資家が注目すべきポイント
バロンズは、今回の株価下落が一時的なセンチメントの変化によるものであり、本質的な成長機会──とくにブラックウェルなどの次世代チップがもたらす市場の広がり──に目を向けるべきだと強調しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA