【注目ニュース】エヌビディア、米中テック摩擦の「交渉材料」に──H20チップ販売制限の波紋

ウォール・ストリート・ジャーナルが、エヌビディア(NVDA)の株価が4月16日の米国市場で大きく下落したことを報じています。背景にあるのは、米国政府が同社のAIチップ「H20」に対し、新たな輸出制限を課したことです。

H20チップの販売停止、その影響は?

エヌビディアは、この規制に関連して55億ドルの在庫および購入契約に関する減損処理を行うと発表。この数字は、UBSのアナリストによれば約130億ドル相当のH20チップの売上に相当すると見られています。

同社のデータセンター部門は、前会計年度(2025年1月終了)に1,152億ドルを売り上げており、今期は1,820億ドル超の売上が予測されています。この巨大な数字の中でH20が占める割合は限定的ですが、エヌビディアがこれまで維持してきた「予想を超える成長」というパターンに綻びが出る可能性があると記事は報じています。

H20は「性能抑制版」でも中国市場には届かず

H20チップは、米国の輸出管理規則を満たすために性能が抑えられており、エヌビディアのフラッグシップ製品「H100」と比べて性能は75%も低いとされています。しかし、たとえ性能が抑えられていても、中国への販売が制限されるという事実は、米中間の技術覇権争いの激化を象徴しているとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘しています。

米中の政治的駆け引きに巻き込まれるエヌビディア

記事では、エヌビディアが米国国内に最大5,000億ドル規模のAIスーパーコンピュータ施設を投資する計画を発表した直後に今回の制限措置が発表されたことにも触れています。同社CEOのジェンスン・フアン氏がトランプ前大統領と会食を行ったことも報じられており、政治的な思惑が交差している様子が伺えます。

AI覇権をめぐる米中の競争の中で、エヌビディアはその中心に位置づけられているとも言え、たとえ性能を落としたチップであっても、中国への技術移転に対する警戒感は根強いことが浮き彫りになりました。

まとめ

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事が示すように、エヌビディアは単なる半導体メーカーではなく、米中間の政治経済的な駆け引きにおける“戦略資産”となりつつあります。今回のH20チップに対する制限措置は、短期的な業績への影響のみならず、グローバル戦略全体の見直しを迫る可能性もある重要なニュースです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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