エヌビディア、中国向けチップの輸出禁止で55億ドルの減損処理に対するアナリストの反応

米半導体大手のエヌビディア(NVDA)が、中国、香港、マカオ向けに販売していたH20チップの輸出に関して、米国政府からライセンス取得の義務を課されることとなり、同社の成長見通しに暗雲が立ち込めています。

2025年4月期において、H20チップに関する在庫を約55億ドル減損処理することを発表したエヌビディアは、この措置が恒久的な輸出制限につながる可能性を想定していると見られています。

この発表を受けて、エヌビディアの株価は4月16日の米国市場の開始直後、6.3%下落しました。

米国ハイパースケーラーの支出が成長を下支え

こんな状況にもかかわらず、メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は、エヌビディアは今後も四半期ごとの成長を維持できると見ています。アルファベットやアマゾン、メタといった米国のビッグテック企業によるデータセンター投資が引き続き堅調であることが、その背景にあります。

特に7月期には10%、10月期には7%の連続的な売上成長を見込んでおり、これは新たに投入予定の「ブラックウェル」チップの立ち上がりによるものです。

また、H20チップは他のGPU製品と比較して利益率が低いとされており、販売停止が利益率改善につながる可能性も指摘されています。

成長継続に慎重な見方も

一方、ジェフリーズのアナリスト、ブレイン・カーティス氏は、年間を通じた連続的な成長については懐疑的な立場を取っています。

同氏の試算によると、今回の55億ドルの減損のうち半分以上は完成品もしくは生産途中の在庫であり、これは最大で100億ドル規模の売上が失われることを意味します。さらに、7月期には最大50億ドルの売上の減少が発生する可能性があると述べています。

今後のAI規制も不透明要因に

バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、今後予定される人工知能技術の「拡散抑制」ルールがエヌビディアに追加のプレッシャーを与える可能性についても言及しています。

これらのルールでは、非米国企業がAI用半導体を大量購入する際にライセンス取得を求められる可能性があり、取得までの時間や手続きの不透明さが、エヌビディアの第2四半期および下半期の業績見通しに影響を与える恐れがあります。

今後の業績は、米国ハイパースケーラーの投資動向や政府による追加規制の内容次第となるため、引き続き注視が必要です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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