パランティア、NATOとのAI契約で株価急騰

人工知能(AI)技術の先端を行くアメリカ企業、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が大きく上昇しました。4月14日の米国市場で同社の株価は一時8.3%高の95.87ドルを記録しました。この急騰の背景には、北大西洋条約機構(NATO)がパランティアのAI対応ソフトウェア「Mavenスマートシステム」を導入するというニュースがあります。

NATOがAIで戦闘能力を強化へ

NATOの通信・情報機関は、3月末にパランティアの「MavenスマートシステムNATO」を正式に取得したと発表しました。このシステムは、アメリカ軍でも使用されており、大量のデータをAIで分析し、戦闘における目標の優先順位を決定するために活用されています。

NATOは今後、このMavenシステムを通じて、32カ国の加盟国全体でAIモデルやシミュレーションなどの革新的な技術の導入を加速させる方針です。

欧州の戦略にも影響を与える契約

ウィリアム・ブレアのアナリスト、ルーイ・ディパルマ氏は今回の契約について、単なる企業契約にとどまらず、地政学的にも大きな意味を持つと指摘しています。ヨーロッパがアメリカの防衛関連企業への依存を見直す動きがある中で、この契約は今後もアメリカ製システムの採用が続く可能性を示しています。

パランティアは昨年、Mavenシステムに関連して、アメリカ統合軍との5年間・4億8000万ドルの契約、さらに陸・海・空軍との1億ドル規模の契約を締結しています。

今後の成長にも期待

ディパルマ氏は、アメリカ陸軍が次世代指揮統制プラットフォームにパランティアのソフトウェアを採用することを本格的に検討しており、今後数カ月内に契約発表があると予想しています。

ただし、同氏はパランティア株がナスダック100との相関性が非常に高い点にも注意を促しています。3年ベータ値が1.72、5年ベータ値が1.61とされ、市場全体の変動に対して3倍の価格変動を見せる可能性があるとしています。

高評価と懸念が交錯する中での投資判断

ファクトセットの調査によると、パランティアをカバーする27人のアナリストのうち、8人が「買い」、15人が「中立」、4人が「売り」としており、評価は分かれています。

ディパルマ氏自身は「マーケット・パフォーム(市場並み)」の評価を維持しています。ナスダック100が短期的に下落する場合、パランティア株も同様に、3倍の比率で下落する可能性があると述べています。

ウェドブッシュは強気を維持、目標株価は120ドル

ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏率いるチームは、今回のNATO契約を受け、パランティア株の「アウトパフォーム(市場上回る)」評価と120ドルの目標株価を再確認しました。

一方で、ここ数カ月はアメリカ国防費に対する不確実性が株価を押し下げていたと指摘しています。2月にはトランプ政権が国防総省に対し、500億ドル規模のプログラム削減を指示したことで、株価に影響が出ていました。

しかし、同社の独自のソフトウェアアプローチが評価されており、AI需要の高まりを背景にさらなる成長が期待されています。政府支出の削減が、むしろ効率化のためにパランティア製品への依存度を高める要因になる可能性もあります。

*過去記事はこちら パランティア PLTR

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