2025年、人工知能(AI)分野での競争がさらに激化しています。マイクロソフト(MSFT)とアルファベット(GOOGL)は、生産性向上ツールに高度な推論機能を持つAIモデルを組み込むことで、高価格帯のサブスクリプション提供に注力しています。
マイクロソフトの新AIエージェント「Researcher」と「Analyst」
マイクロソフトは、3月25日にMicrosoft 365 Copilotの新機能として、「Researcher」と「Analyst」という2つのAI推論エージェントを発表しました。これらのエージェントは、ユーザーの簡単な指示に従って、複数のステップを含む業務タスクを自動で処理する能力を持っています。
マイクロソフトのAI at Work部門の最高マーケティング責任者であるJared Spataro氏は、「これらのエージェントは、お客様の業務データ(電子メール、会議、ファイル、チャットなど)やウェブへの安全かつコンプライアンスに準拠したアクセスを通じて、大量の情報を分析し、高度な専門知識をオンデマンドで提供します」とブログで述べています。
これらの新エージェントは、4月から順次提供される予定です。これは、Microsoft 365の月額30ドルの追加料金で利用できるCopilotの新機能群の一部として、ビジネス顧客向けに先行提供されるプログラムに組み込まれます。
グーグルは最新AIモデル「Gemini2.5」を発表
マイクロソフトの発表と同日に、グーグルも最新のAIモデル「Gemini2.5」をリリースしたと発表しました。Gemini2.5は推論能力をさらに強化しており、さまざまなベンチマークにおいて、マイクロソフトが支援するOpenAIやイーロン・マスク氏のxAI、中国のディープシークのAIモデルを上回る性能を示しました。
このモデルは、Google AI Studioを通じて開発者やGemini上級ユーザー向けにすでに提供が始まっており、まもなくグーグルのクラウドAI製品であるVertexにも統合される予定です。価格に関する情報は数週間以内に公開される見込みです。
グーグル傘下のDeepMindの最高技術責任者であるKoray Kavukcuoglu氏は、「今後、これらの思考能力をすべてのモデルに直接組み込み、より複雑な問題にも対応できる、状況認識能力の高いエージェントを実現していきます」と述べています。
AI推論モデルの普及とインフラ投資の正当化
AIプロバイダー各社は、より優れたAIモデルを有償で提供し、クラウドインフラやコンピューティングへの多大な投資を正当化しようとしています。エヌビディア(NVDA)の最高経営責任者であるジェンセン・フアン氏によれば、最新の推論モデルは従来のAIモデルよりも100倍の計算能力を必要とするとのことです。
このように、AIモデルの進化により、企業はサブスクリプション価格の引き上げを正当化しやすくなっており、同時にAIインフラへの依存度も高まっています。
まとめ:AI推論エージェントが次の競争軸に
マイクロソフトとアルファベットの最新発表は、AIの推論能力が次世代の生産性ツールにおける鍵となることを示しています。企業がより高性能で知的なAIを業務に導入する流れは、2025年のビジネスシーンにおいて一層加速しそうです。
今後もAIエージェントの進化がビジネスの効率化を大きく支える存在となり、その開発競争は止むことなく続いていくと考えられます。