インテルの新CEO、リップブー・タン氏の改革に市場が期待

  • 2025年3月17日
  • 2025年3月17日
  • BS余話

インテル(INTC)の新しい最高経営責任者(CEO)、リップ・ブー・タン氏は、同社の再生という重要な使命を担っています。市場はすでに彼の経営手腕に期待を寄せており、株価も急上昇しています。

株価の動向と市場の反応

インテルの株価は3月17日の米国市場の取引開始直後に4.2%上昇し、過去5営業日で21%の上昇を記録しました。タン氏は、以前インテルの取締役を務め、半導体設計ソフトウェア企業であるケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)のCEOを務めた経験を持っています。同氏の就任により、インテルの経営改革が進むとの期待が高まり、株価の上昇につながっています。

タン氏の経営改革の方向性

ロイターの報道によると、タン氏は以下の施策を検討しているとされています。

  • 中間管理職の削減
  • チップ製造事業の業績改善
  • 人工知能(AI)サーバー向けの新半導体の開発・導入

インテルはこの報道に対し、コメントを拒否していますが、市場はこれらの改革を好意的に受け止めているようです。

ファウンドリー事業の課題と改革の必要性

インテルのファウンドリー(チップ製造)事業は2024年に134億ドルの損失を計上しました。こうした状況を受け、タン氏は事業の立て直しに注力するとみられています。TSMC(TSM)との取引の可能性も報じられていますが、インテルはチップ製造事業を分離せず、現行の体制で継続する方針のようです。

人員削減の可能性とインテルの組織改革

インテルはすでに2024年に15,000人の人員削減を実施し、全体の従業員数を15%以上減らしました。そのため、さらなる削減を行うのは難しい状況です。しかし、タン氏は2022年から2024年まで取締役を務めていた際、インテルの従業員が過剰であると考えていたと報じられています。今後、組織のスリム化が進められる可能性があります。

AIチップ市場への本格参入

最も注目すべき点は、インテルが2027年までにAIチップの新アーキテクチャを開発し、その後毎年新バージョンをリリースする可能性があるという報道です。現在、インテルはAIハードウェア市場においてエヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)に大きく遅れを取っています。タン氏の指揮のもと、インテルがAI分野でどのようにシェアを拡大していくのかが注目されています。

インテルの今後の展望

タン氏の経営戦略が成功すれば、インテルは半導体市場における競争力を取り戻す可能性があります。一方で、競争環境は厳しく、エヌビディアやTSMCといったライバル企業との戦いは容易ではありません。市場は今後もインテルの動向を注視していくと思われます。

タン氏の手腕により、インテルの業績がどのように変化するのか、今後の展開が期待されます。

*過去記事「インテルが2025年の半導体市場で急上昇、エヌビディアを抜いて最強のチップ株に

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