iPhone販売は停滞、AI戦略は遅延…それでもアップル株は上昇するのか?

アップル(AAPL)は、人工知能(AI)機能を搭載したデバイスの提供に苦戦しており、一部の投資家や市場関係者から批判を受けています。しかし、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、同社の株を売却した投資家は後悔する可能性があると指摘しています。

Siri AIアップデートが延期

アップルは今月初め、デジタルアシスタント「Siri」のAIアップデートを延期し、提供時期を2026年中と発表しました。当初は、iOS 18.4のリリースとともに、2025年4月から5月にかけて新しいSiriの提供を開始する予定でしたが、スケジュールが後ろ倒しになった形です。

この延期を受け、ウォール街では失望の声が広がっています。シティグループとモルガン・スタンレーのアナリストは、2025年のiPhone販売台数予想を引き下げ、2024年の約2億3,000万台とほぼ同水準か、わずかな増加にとどまると見込んでいます。

AIの遅れがアップルの不調を示すのか?

AI対応の遅れは、アップルが直面しているより大きな課題の一つと考える市場関係者もいます。著名なアップルブロガーのジョン・グルーバー氏は、自身の投稿でこの状況を「大きな失敗」と表現し、将来の機能を約束する企業の姿勢が信頼を損なう結果につながったと指摘しました。

一方で、アップルの株価は2025年に入ってから16%下落しており、投資家の間で悲観的な見方が強まっています。しかし、ウェドブッシュ証券のアイブス氏は、この株価の下落は行き過ぎであり、同社のAI戦略が完全に失敗したと結論付けるのは時期尚早だと分析しています。

アップル株は割安? 目標株価325ドルを維持

アイブス氏は、アップル株の投資判断を「アウトパフォーム(市場平均を上回る)」とし、目標株価を325ドルに据え置きました。株価は金曜日の市場前取引で0.7%上昇し、211.20ドルとなっています。

また、同氏は最悪のシナリオを想定し、アップルのAI戦略の遅れが最大1,000万台のiPhoneの出荷が2025年度から2026年度にずれ込ませる可能性があると述べています。しかし、それでも2025年度のiPhone販売台数は2億2,500万台〜2億3,000万台、2026年度には2億4,500万台〜2億5,000万台まで増加すると予測しています。

アリババとの提携が追い風に

アップルにとって追い風となるのは、中国のアリババとの提携計画が規制当局から承認されることです。アイブス氏によると、この提携は2025年6月にも実現する可能性があるとされ、アップルがAI関連サービスから2027年までに年間100億ドルの売上を達成する可能性があるとしています。

AI以外での成長戦略

AI機能の開発が遅れる中、アップルはiPhoneの購入を促す別の方法を模索していると報じられています。ブルームバーグの報道によると、2025年後半にはiPhone、iPad、Macのインターフェースを大幅に変更し、ソフトウェアプラットフォームの一貫性を向上させ、操作のシンプル化を図る計画があるとのことです。

さらに、アップル通として知られる台湾のTFインターナショナル・セキュリティーズのアナリスト、ミンチー・クオ氏は、アップルが2026年末に初の折りたたみ式スマートフォンを投入する可能性があると予測しています。この折りたたみ式iPhoneは、価格が2,000ドル〜2,500ドルになる見込みであり、高価格帯のスマートフォン市場において新たな成長機会を提供すると期待されています。

アップル株は今後どうなるのか?

短期的にはAI開発の遅れや販売台数の伸び悩みが懸念材料となるものの、長期的にはAI戦略の進展や新たな製品ラインの投入が成長を支える可能性があります。特にアリババとの提携が実現すれば、中国市場でのビジネス拡大が期待され、売上基盤の強化につながるかもしれません。

現在の株価水準を考慮すると、アップル株は割安との見方もあり、中長期的に再評価される余地があると考えられます。今後の発表や市場動向を注視しながら、投資戦略を検討することが重要になりそうです。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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