スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価が3月11日(火)の米国市場で急騰しました。前日の大幅な下落からテクノロジー株が回復する中、同社の株価は前日比10.68%上昇し、40.84ドルで取引を終えました。
一方で、テクノロジー業界の大手企業の多くは下落しました。スーパー・マイクロ・コンピューターの顧客であるIBM(IBM)やインテル(INTC)の株価は、それぞれ3.1%安、0.8%安となりました。
テクノロジー株は不安定な値動き、主要指数は下落
この日の市場では、テクノロジー株が上昇と下落を繰り返しながらも、最終的に下落する銘柄が多く見られました。ナスダック総合指数は前日比0.18%安、S&P500指数は0.76%安、ダウ工業株30種平均は1.14%安(478ポイント下落)となりました。
また、iShares U.S. Technology ETF(IYW)は0.2%安、Technology Select Sector SPDR ETFも0.4%下落しました。この市場の動きには、関税に関するニュースやウクライナとロシアの停戦交渉が影響を与えたと考えられます。
スーパーマイクロがS&P500のトップパフォーマーに
スーパーマイクロは、この日S&P500指数の中で最も上昇した銘柄となりました。同社の株価は、前日の月曜日からすでに上昇を始めており、その要因の一つとして、ローゼンブラット証券のアナリストであるケビン・キャシディ氏が同社のカバレッジを再開し、「買い」推奨としたことが挙げられます。キャシディ氏は目標株価を60ドルとし、これは現在の株価から56%の上昇余地を意味します。
アナリストは、スーパーマイクロの売上の約70%が人工知能(AI)関連であり、その成長が加速している点を強調しました。特に、大規模な液体冷却システムの提供能力に期待を寄せており、これまでコストや信頼性の懸念から導入が進みにくかった技術を、同社がスムーズに提供できる点を評価しています。
CEOのメディア出演も株価上昇の要因に
10日には、スーパーマイクロのCEOであるチャールズ・リャン氏が、Fox Businessに出演しました。ラスベガスで開催されたHumanXカンファレンスからのインタビューで、同社の新たな監査法人であるBDO USAが監査プロセスを完了するために「単に時間が必要だった」と説明しました。さらに、以前の監査法人であるアーンスト・アンド・ヤング(EY)が2024年10月に辞任したことについても、「過去の問題」であると強調しました。
2025年のスーパーマイクロは好調な業績を維持
スーパーマイクロは、今年に入ってからも非常に好調な業績を記録しています。2月にはS&P500の中で最もパフォーマンスの良い銘柄となりました。特に、同月発表された第2四半期の業績更新では、長期的な売上ガイダンスが市場予想を大きく上回り、大きな注目を集めました。
また、同社は2月25日の期限内に、2024年6月30日終了の会計年度の10-K報告書と、遅延していた2つの四半期決算報告を提出しました。これにより、ナスダック市場からの上場廃止リスクを回避することに成功しました。
今後もAI関連市場の成長に伴い、スーパーマイクロの業績拡大が期待されます。同社が提供する高性能サーバーや液体冷却技術は、エヌビディア(NVDA)をはじめとする大手AIチップメーカーの成長と連動する可能性が高く、投資家の関心が引き続き高まりそうです。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI