テスラの株価低迷が続く―投資家の不安要因とは?

テスラ(TSLA)の株価が大きく下落し、投資家の間で不安が広がっています。3月10日の米国市場では正午過ぎの段階で10.28%下落し、235.69ドルで取引されています。この要因のひとつに、ウォール街のアナリストによる納車台数予測の引き下げが挙げられます。

納車台数の予測引き下げが影響

UBSのアナリストであるジョセフ・スパック氏は、テスラの2025年の納車台数予測をこれまでの200万台から170万台に引き下げました。2024年第1四半期の納車台数予測も43万7000台から36万7000台に下方修正しています。この修正の背景には、リードタイムの長期化や価格設定、年初の販売データの低迷があると指摘されています。

スパック氏はテスラ株の投資判断を「売り」とし、目標株価を259ドルから225ドルに引き下げました。これにより、投資家の間で売りが加速し、株価の下落を招きました。

テスラ株の値動きと市場の影響

テスラの株価は前年同期比で約36%上昇しているものの、昨年12月18日に記録した過去最高値488.54ドルと比較すると、大幅な下落となっています。2月20日以降の下落率は約26%に達しており、厳しい局面が続いています。

10日の市場では、S&P500(SPX)は2.18%下落し、ダウ平均株価(DJIA)も1.23%下落しました。市場全体もリスクオフの姿勢を強めており、投資家は慎重な姿勢を取っています。

政治的要因と景気後退懸念

テスラ株の下落には、政治的要因も関係している可能性があります。ドナルド・トランプ大統領は、9日の米FOXニュースのインタビューで米景気後退入りを予想しているかと聞かれ「そのようなことを予測するのは嫌いだ。我々がしていることは非常に大きいので過渡期がある」と発言し、可能性を明確には否定しませんでした。この発言で市場の不安が一層高まりました。景気の先行き不透明感が増す中、リスクの高い成長株が売られやすくなっています。

DOGEの影響も不透明感を増大

市場の不安要因の一つとして、テスラCEOのイーロン・マスク氏が関与する「DOGE(Department of Government Efficiency)」も注目されています。この政府機関の設立に伴い、一部の投資家がテスラ株に対する懸念を強めています。

DOGEに関連する抗議活動が発生しており、テスラのブランドイメージにも影響を与えている可能性があります。テスラの株価下落とDOGEの関連性ははっきりしないものの、市場の混乱要因となっていることは確かです。

楽観的なアナリストも

悲観一色とも言えるテスラの現状ですが、中には楽観的な見方を変えないアナリストもいます。ウェドブッシュ証券のアナリストであるダン・アイブス氏は、テスラの成長を楽観視しており、同社がAI技術を活用して自動運転タクシーやヒューマノイドロボット事業を展開することで、将来的に数兆ドル規模の価値を生み出すと予測しています。

同氏はテスラ株を「買い」と評価し、目標株価を550ドルと設定しています。

投資家にとっての今後のポイント

投資家は、テスラの今後の動向に注意を払う必要があります。特に、次の点が重要な指標となります。

  • 2024年第1四半期の納車台数の確定値
  • 価格戦略の変更や新たな市場展開
  • 政治的な影響と規制の動向
  • AI技術を活用した新規事業の進展

テスラは、今後も市場の注目を集める企業であり続けると予想されます。しかし、短期的には株価の変動が続く可能性があるため、慎重な投資判断が求められます。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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