S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは四半期ごとにS&P500(SPX)の構成銘柄を見直し、企業の追加・削除を行っています。次回の変更は3月21日の市場終了後に実施される予定で、一般的にその2週間前に正式発表されます。
投資家の間では、コインベース(COIN)、ロビンフッド(HOOD)、アプラビン(APP)などがS&P500に追加される可能性があると注目を集めています。
S&P500への組み入れ候補となる企業
バークレイズのアナリストは、S&P500に追加される可能性のある企業として、自社のカバレッジ内の7社を挙げています。最も規模が大きいのはインタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)で、同社の時価総額は807億ドルに達しています。
続いて、コインベース(544億ドル)とアレス・マネジメント(ARES)(500億ドル)が候補に挙がっています。その他の可能性のある企業には、ロビンフッド、LPLフィナンシャル(LPLA)、ブルー・アウル・キャピタル(OWL)、トレードウェブ・マーケッツ(TW)が含まれています。
このほか、バークレイズのレポートには記載されていませんが、アプラビンも市場では注目されています。同社の時価総額は883億ドルで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの基準を満たす候補の中では最大規模となっています。また、ドアダッシュ(DASH)(757億ドル)も有力な候補と見られています。
除外の可能性がある企業
一方、FMC(FMC)、セラニーズ(CE)、シーザーズ・エンターテインメント(CZR)は時価総額が低く、S&P500から除外されるリスクがあると考えられています。
前回の四半期の入れ替えでは、アポロ・グローバル・マネジメント(APO)とワークデイ(WDAY)がS&P500に加わり、コルボ(QRVO)とアメンタム・ホールディングス(AMTM)がS&Pスモールキャップ600に移行しました。
S&P500に採用されるための条件
S&P500に組み入れられるには、企業は以下の要件を満たす必要があります。
- 米国企業であること:本社が米国にあり、米国企業として認識されることが必要です。
- 時価総額:時価総額が一定以上であることが求められます。2021年6月時点では、採用条件として時価総額が131億ドル以上とされています。 ただし、時価総額の基準は市場状況に応じて見直されることがあります
- 浮動株比率:発行済株式総数の50%以上が市場で取引可能な浮動株であることが必要です。
- 収益性:直近の四半期および連続する4四半期の合計で、一般会計原則(GAAP)ベースの純利益が黒字であることが求められます。
- 流動性:株式の流動性が高く、活発に取引されていることが重要です。
S&P500採用銘柄の株価への影響
S&P500に採用された企業の株価は、通常、発表前に7%以上上昇する傾向があります。そのため、まもなく行われる採用の発表が株価の上昇材料となる可能性があります。
ただし、組み入れが決定すると短期的な売り圧力が発生することも多く、採用初週には平均1.3%の下落、4週間後には約1%の下落が見られる傾向があります。さらに、発表日からリバランス終了日までの間に平均で16ベーシスポイント(0.16%)下落するというデータもあります。
まとめ
S&P500の定期入れ替えは、関連銘柄の株価に大きな影響を与えるイベントです。今回の候補企業の中でもアプラビンやインタラクティブ・ブローカーズのような時価総額の大きな企業は特に注目を集めています。
一方、FMCやシーザーズ・エンターテインメントのような企業は除外リスクがあるため、投資家は今後の発表に注視する必要があります。S&P500採用銘柄は短期的な株価上昇が期待されるものの、リバランス後の値動きには注意が必要です。