マイクロソフトの株価は当面低迷か?AI投資とクラウド成長鈍化が影響

マイクロソフト(MSFT)の株価は、人工知能(AI)関連の多額な投資とクラウド事業の成長鈍化を受けて、しばらくは大きく上昇しにくい状況が続く可能性があります。米証券会社シュティフェルのアナリスト、ブラッド・リーバック氏は、マイクロソフトの目標株価を従来の515ドルから475ドルに引き下げました。ただし、「買い」評価は維持しています。新たな目標株価は3月6日の終値396.89ドルに対して約16%の上昇余地を示しています。

AI投資とクラウド事業の成長バランスが課題

リーバック氏は、クラウド事業「Azure(アジュール)」や商用クラウドの成長が資本支出の増加を上回ることが市場に確認されるまで、マイクロソフトの株価は横ばいが続く可能性が高いと指摘しています。

ウォール街では、主要テクノロジー企業のAI分野への巨額投資が注目されています。マイクロソフトは2025年に約800億ドルをAI関連事業に投資する計画を発表しており、第2四半期の資本支出は158億ドルと、前四半期の149億ドルから増加しました。一方、同四半期のアジュールおよびその他クラウドサービスの売上成長率は31%で、前四半期の33%から減速しました。

リーバック氏は、2017年度から2023年度にかけてのように、マイクロソフトのクラウド事業の売上成長が資本支出の増加を上回る状況が再び訪れることを市場が確認するまでは、株価は大きく動きにくいと分析しています。

株価の下落が続くマイクロソフト、過去最悪の決算後パフォーマンス

マイクロソフトの株価は、1月29日に決算を発表して以来11.4%下落しており、28営業日連続で下落が続いています。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、決算発表後の28営業日でこれほどの下落を記録したのは、2010年5月以来最悪のパフォーマンスとなります。当時は18%の下落を記録しました。

1月29日に発表された第3四半期の売上ガイダンスが市場予想を下回ったことが、投資家心理を悪化させた要因の一つとなっています。さらに、マイクロソフトの多額のAI関連投資がいつ具体的な売上成長につながるのか不透明であることも、投資家の慎重な姿勢を強めています。

加えて、最近の経済環境に対する不確実性が増す中、ウォール街では慎重な投資姿勢が広がっています。特に、バリュエーションの高いテクノロジー株はリスク回避の対象となり、マイクロソフト株にも売り圧力がかかっている状況です。

長期的な成長見通しは依然として堅調

リーバック氏は、マイクロソフトの長期的な成長ポテンシャルに対しては引き続き楽観的な見方を示しています。同氏は「AI分野の急成長により、マイクロソフトは今後も二桁の売上および利益成長を維持できると予想している」と述べています。ただし、資本支出の増加を考慮し、目標株価を475ドルに引き下げたと説明しています。

3月7日の米国市場では正午過ぎの時点で、マイクロソフトの株価は2.7%安の386ドルで取引されています。短期的にはクラウド事業の成長ペースやAI投資の収益化が焦点となりそうですが、長期的にはAI市場の拡大によって持続的な成長が見込まれると考えられます。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

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